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その夜も、アキトはこっそりベッドを抜け出した。おじいさんは、昨日と同じ公園で、アキトが来るのを待っているみたいにぼんやりとベンチに座っていた。
「坊や、今夜も手伝ってくれるのか?」
アキトが頷くと、おじいさんはリアカーを引いて歩きだした。
「これ集めてどうするの?」
たずねるとおじいさんは黙って空を指さした。つられて空を見上げると、雲の隙間から星がちらちら光って見えた。
「星をつくるんだ」
子供扱いされたと思ってアキトはむっとしたけど、おじいさんは真面目な口調でつづけた。
「集めた空き缶は工場でとかして大きな鉄の塊にして、ロケットで空に飛ばすんだ。そうしたら、空に空いた穴にはまって星になるんだよ」
「ふうん」
2人はそれからしばらく黙って空を見上げていたけど、酔っぱらった女の人の笑い声が近づいてきたのでまた歩き出した。
「作ってるところ見せてくれる?」
「ああ、そのうちな」
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