留守番

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留守番

私が小学校五年の頃弟は幼稚園の年長でした。 私は母親に「今電話があったんだけど、急に出掛けなければならなくなったの。 仕事が人手が足りないから少しの間、手伝って来るから悪いけど簡単な夕飯作っておいたから、夕飯食べて弟の面倒をみて留守番お願いね。 夕飯は過ぎてしまうけどなるべく早く帰るから。 もうすぐ夕焼けチャイムがなるから家にいてね。 弟もいるから」私は「わかった」そう言って家で 弟と二人留守番をしていた。 弟は四畳半の和室で絵を書いていた。 私は隣の六畳の和室で宿題をやっていた。 しばらくすると隣で絵を描いていた弟の叫び声が 聞こえた。「ギャーお姉ちゃん来て!」 ただならぬ叫び声に私は弟のところに駆け寄った「どうしたの?暗くなってきたのに電気もつけないで?さっきまで電気付いていたよね?」 私は弟に言った。 当時の電球は今のようにリモコンでつけたり消したりするタイプのものではありませんでした。 電球のところから垂れている長い紐を引っ張るタイプのものでした。 私は「まず電気をつけようか?」そう言って電気をつけようと紐を持ちました。 すると弟は「駄目!電気をつけちゃ駄目!止めて」そう言って私の手を握ります。私は「どうしたの?」弟に訪ねると「その紐を引っ張って明かりをつけると普段は何でもない紐が誰も触ってないのに紐の一番下の部分が勝手に上に曲がっていくんだ」そう私に言ったのです。 私は「今日はお姉ちゃんと二人だから心細いのね。大丈夫よ。もうすぐ宿題も終わるからね。側にいるから。電気つけないと目が悪くなるわよ」 私はそう言って電球の紐を引っ張って電気をつけました。 「ほら大丈夫でしょう?」電気は普通についていつもと同じだと思っていました。 ところが弟と私は見てしまったのです。 電球から延びている紐が重力に逆らって曲がって上に引っ張られているところを……。 この時、私と弟の他に誰も部屋にはいませんでした。そして電球の紐を弟も私も触っていなかったのです。 私と弟は怖くなって「キャー」と叫びました。 そして、外には出てはいけないという約束を破って家の外に出てしまったのです。 するとたまたま友人が遊んでいたので訳を話しました。友人は「そんな馬鹿な~私が一緒に家に行ってあげるから」と言ってくれたので私は友人を家の中に入れました。  「じゃあ、電気つけるね」友人はそう言うと電球の紐を持って電気をつけたり消したりしました。 「ほら大丈夫でしょう?」 最後にまた電気をつけて友人は笑っていました。 ところがその後友人の顔色はどんどん変わっていったのです。 そう、また紐は重力に逆らって曲がってまるで誰かに上に引っ張られているみたいに勝手に動いているのです。 私達は「キャー」そう叫んで外に出ました。 それでも私と弟は夕焼けチャイムがなったので家に戻りました。 私は「空気の入れ替えでもしようか。淀んだ空気が幽霊とか呼ぶのかも知れないわよ」そう言って窓を開けて宿題をやっていました。 そして、宿題が終わった時、「さあ夕飯をテーブルに運ぼうか」そう言って母が作った夕飯をテーブルに運んで夕飯を食べ初めました。 その時、窓の方から誰かに見られているような視線を感じました。私は気のせい?そう思っていました。 ところが弟は言ったのです。 「何だか窓からうちの中を覗いているような視線を感じる」私は「そ、そんなの気のせいよ。今窓の外見てみるから」私はそう言って窓のカーテンを左に引いて窓を開けました。 そして窓から見えるブロック塀を見ました。 弟も立ち上がって窓の外から見えるブロック塀を見ました。 私と弟は「キャー出た~」そう言って外に飛び出しました。私と弟が見たものはブロック塀にびっしりとあった人間の目でした。 私と弟は夕飯の途中だったにも関わらず怖くて玄関のドアの前にずっと立っていました。 暫くして母が帰って来て「こんなところで?どうしたの?」そう聞いたので私と弟は今までの事を話しました。 母は私達と一緒に家に入るとすぐに 窓の外のブロック塀を一番先に見ました。 ところが普通の塀に戻っていました。 母は「何ともないじゃない気のせい気のせい。早く夕飯食べちゃいなさい」そう言って笑っていました 私と弟は夕飯を何もなかったように食べ始めました でも、私と弟は気付いていました。 外に飛び出して逃げた時電気が消えていたことを~ 私も弟も帰宅したばかりの母も電気を付けていない事に~ なのに母が帰って来てドアを開けた時、何で部屋の電気が付いていたのでしょう? 電気が付いていた不思議な出来事を知っているのは 弟と私だけです。          二話完 
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