修学旅行の日光で

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修学旅行の日光で

あれは私がまだ小学六年生の頃でした。 私は埼玉県に住んでいたのですが、他県とは違って埼玉県の修学旅行の日光は結構いいホテルに泊まる事になっていました。 何故なら子供自然の家などの施設がなかったからです。もちろん林間学校用の施設がなくても林間学校の時はバンガローに泊まっていました。 六年の修学旅行は最後だということで有名ホテルに泊まる事が代々私が行ってた小学校では当たり前になっていました。 その為保護者は早くから修学旅行の積立てをしていました。 毎年泊まるホテルは違うのですが、有名豪華ホテルだということは初めから聞いていました。 私もクラスメイトもどんな豪華ホテルに泊まれるのか?とても楽しみにしていました。 そして当日観光をした後私達は、観光地から程近い某有名ホテルの門を入っていきました。 その時、ホテルの支配人みたいな人が新人のホテルの従業員らしい人を入口のところで叱っているのです。私達にもその怒鳴り声が聞こえました。 「何やってんだ!あれほど間違えないように言ったじゃないか!」 「済みません」 「どうするんだよ!今さら部屋を変えるなんて失礼じゃないか!」 「済みません」 「仕方ない私が謝って訳を話すよ。お前も来い」 それからそのホテルの支配人らしき人と新人のホテルの従業員みたいな人が私達の側に走って来ました。そして私のクラスの担任に言ったのです。 「実は六年一組の担任の先生の部屋に間違えて別のお客様をこの新人が泊めてしまったのです。 今空いている部屋は四階の左の突き当たりの部屋か右の部屋しかないんですが~右の部屋は物凄く小さな部屋で窮屈なんですが~左の部屋は広くて間違えてしまった部屋と同じ大きさなんですが~ひとつだけ問題があるのです。 何年か前にその部屋で女性が失恋して手首を切って窓から身を投げたのです。それが警察の調べだと深夜12時に自殺したらしいんですが~。実はその女性の幽霊が左の部屋に出るらしいんです。 そこに泊まった御客様が言ってたんです」 担任の仮名「藤田」先生はその支配人に言いました。「私は幽霊なんて信じない。見てみたいもんですよ。広いなら左の部屋にお願いします」 支配人は「本当にいいんですか?」もう一度担任の藤田先生に聞きました。 先生は「はい、私は信じませんから」そう言ったのです。そして私達にこう言いました。 「皆修学旅行だ。いい思い出にしよう。他のクラスには内緒で、深夜12時に男女問わず起きていれば先生の部屋に来てもいいぞ。 ただし、他のクラスにばれないように静かにそっと来ること」 担任の先生は教師なのに私達にそう言いました。 男子は「絶対行こうぜ。幽霊なんているはずないよ」とその話で持ちきりでした。 私は幽霊怖いから関係ないよね。そう思っていました。 そして、その日私は何故か深夜12時に目が覚めてしまいました。 そして同じ部屋で寝ている仮名「恵子」ちゃんも目が覚めました。 恵子ちゃんは私に言ったのです。 「何か廊下騒がしいねー。先生の部屋に行ったのかな~それにしても煩い」 「本当ねー何走り回ってるの!」 二人でそんな話をしていると、私達の部屋のドアを叩いている音がしました。 叩きながら「助けてくれ~で、出たんだ~」 「幽霊が出たんだよ~助けてくれ~」 その声は同じクラスの吉田君と林君でした。 私は「どっきりでしょう?私達を脅かそうとしたって無駄だからね~」そう言いながらドアを開けました。そして恵子ちゃんは吉田君と林君に言いました。「幽霊~何言ってるの。こんな立派なホテルなのに出るわけないじゃん」ところが、吉田君と林君は私と恵子ちゃんに言ったのです。 「ちょっと、突き当たりの先生の部屋を見て」 私と恵子ちゃんは少し部屋を出て突き当たりにある先生の部屋を見ました。 先生の部屋のドアは開いていました。そして次々青い顔をしている男子が助けてくれ~出た~と言って先生の部屋から出てくるのです。 私と恵子ちゃんはその後、見てしまったのです。 男子が部屋から出た後先生の部屋で勝手に本が動いて本棚から飛び出して来ているところを窓がバタバタ開いたり閉まったりしているところを 電気スタンドが勝手に動いているところを~ 私は「恵子ちゃんあれ~」 「ひろみちゃんあれって?幽霊の仕業だよね?何で風もないのに窓がパタパタ言ってるの?本が浮いてるよ」 私と恵子ちゃんは二人で「キャー」と叫びました。 私達は廊下からすぐ自分の部屋に入り、鍵を閉めました。吉田君と林君は 「俺達先生の部屋の隣なんだよー。怖くて帰れない玄関でいいから入れてくれ~」と叫んでいましたが。私と恵子ちゃんは 「男でしょ!自分の部屋に帰りなさい」と言って 震えながら布団に入って眠りにつきました。 次の朝、ドアを開けようとするとドアが開きません 「誰か?いるの?」私は声を掛けました。 すると「ごめん」という声が聞こえました。 そこにいたのは深夜、私の部屋に来た吉田君と林君でした。怖くて自分の部屋に戻れなくてここで寝たとの事でした。 廊下を見るとほとんどの男子が廊下で寝ていたのです。 私と恵子ちゃんは確信しました。「やっぱり出たんだ」 クラスでも「やっぱり出たんだねー。怖いねー」 そんな話で持ちきりでした。 その後、私達は朝食を食べて身支度を整えて 荷物を持って集合場所のホールに集まりました。 ところが一番「幽霊なんて俺信じない」と言っていた仮名「加藤」君が来てないのです。 「先生加藤が来てないけど~」 藤田先生はそれを聞いて私達に話初めました。 「実は~昨日本当に血を流してる女性の霊が出たんだ。加藤はその女の霊に首を絞められて気分が悪くなってしまったんだー」 幽霊を見に行かなかった男子達は「幽霊なんていないでしょ先生まで~ドッキリ?」 そう言って笑っていました。 その時、加藤君が首にバンダナを巻いて集合場所に遅れて来ました。 幽霊を見に行かなかった男子はその加藤君の姿を見て「何かっこつけてるんだよ~どっきりか~」そう言ってバンダナを取りました。 その時、クラス全員加藤君の首を見てしまったのです。 加藤君の首には女の人の手形がくっきりと残っていたのです。それは青いあざのような手形でした。 私達は「キャー」と叫びました。 その後、修学旅行が終わりクラスではその話を話題にする人はいませんでした。 でも加藤君の首の後は少しずつ薄くなってきましたが一週間たつと首の後はすっかり無くなっていました。 一週間後、日光でカメラマンが撮影した集合写真が貼り出されました。 男子と女子に分かれて取った集合写真など部屋ごとの写真が貼り出されました。 その写真をクラス皆で見ていた時の事。 男子だけの写真で、後が華厳滝になっていました。 その滝にくっきりと笑っている白い着物を着たお侍さんが肩まで映っているのです。 私達はまたその写真を見て「キャー」と叫びました でも私は、にこにこ笑っている侍さんだから映りたかったのかも?と心の中で思っていました。          五話完
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