林間学校で

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林間学校で

あれは私がまだ中学二年生だった時の話です。 私が通っていた学校では中学二年生の時林間学校と言うものがありました。 中学生の林間学校は小学生の時とは違い準備が数ヶ月前から始まっていました。 まず友人達と五人から六人のグループを作って 夕飯に何を作るか一泊二日なので、メニュー決めから始まります。 料理の練習もあります。 火を起こして飯ごうでご飯を炊く練習です。 おかずもその火で作るので練習もさせられます。 何故そのような練習をするのかというと 中学校の林間学校は班ごとにバンガローに泊まり 自分達で夕飯の時間には火を起こして食べるのです。 食器を洗うところは共同洗い場があって片付けてから就寝です。お風呂も共同お風呂があるので順番に入ります。 朝食も同じように朝早くから作ります。 鍋などは借りるところがあるので持って行く時と 返す時は何処の班で何を借りたか返したか紙にメモをしてバンガローの管理人さんに渡す仕組みです。お昼は朝おにぎりを握ってそれぞれ自分の分を持ってバスに乗って移動します。 ほとんど山登りで一日が過ぎましたが~。 そんな林間学校で恐怖の体験が起きてしまったのです。それは一日目の山登りから始まりました。 もう少しでバンガローに到着する時の事です。 みんなくたくたになりながら歩いていました。 その時に山登りの服装には合わない白いワンピースを着て、髪の毛はロングヘアーでストレートの黒髪靴は白いパンプスを履いてる若い20代くらいの女性が山の下の方をずっと見て泣いていました。 今にも自殺しそうな感じで山の下をずっと見ているのです。 その女性を心配して体育の教諭の仮名「吉沢」先生がその女性に声を掛けました。 「大丈夫ですか?」 「どうしたんですか?家に帰った方がいいですよ。冷えてきましたから」 吉沢先生は一生懸命に声を掛けていました。 そして、私達にこう言いました。 「みんなそこがバンガローだ先に行ってバンガローに番号が書いてあるから自分達のバンガローに荷物を置いて夕飯の調味料とか出して鍋とか借りておけよ」 私達もその女性が気になりましたが、自分達の準備でとても忙しかったのを覚えています。 夕飯の準備をしてご飯を炊い ていると吉沢先生が班ごとの見回りに来ました。 クラスメイトは吉沢先生に聞きました。 「あの綺麗な女の人どうだった?」 吉沢先生は「あの女性何度も先生が声を掛けたんだけど~ずっと泣いていて何も言わなかったんだよね」 そう言いました。クラスメイトはなんだか不吉な胸騒ぎを感じて女性の事を心配していました。 夕飯を食べるとあと片付けをしてから少しの間 自由行動です。私達はバンガロー近くで泣いていた女性のところに行きました。 もう家に帰っているだろうと思いましたが何故か その女性が気になったのです。 ところが夕飯を食べて片付けまで終わっている時間なのにこのバンガローに来た時と同じところで山の下の方をじっと見て泣いているのです。 クラスメイトの仮名「梅沢」さんは「もう、夜ですし寒くなって来ました。早く家に帰った方がいいですよ」そう言いました。 すると女性は梅沢さんにも何も言わずに泣いていました。 仮名「中村」さんが「梅沢」さんに「早く帰ろう」何故梅沢さんの手を握ってバンガローに連れて行ったのか?私達はバンガローの中で中村さんからその理由を聞きました。 中村さんは私達にこう言ったのです。 「さっきあの女性のところに行ったとき風が強かったよね?私達の髪の毛も結構乱れていたよね? でも、あの女性の髪の毛全く動いてなかった」 「そ、そう言えば~あの女性の髪の毛動いてないような~?」 「それにおかしくない?何時間もあそこに立って 泣いているなんて~山なのに白いワンピース姿で パンプスなんて履いてる?」 私達はバンガローの中でそんな話をしていました。 そして、中村さんは「お風呂に入ってすぐ寝ちゃおう」そう言いました。 私達はすぐにお風呂に入って就寝しました。 すると深夜3時頃に私達のバンガローの窓の外から女性の泣き声が聞こえました。その声があまりにも煩くて「誰かが泣いてる?煩すぎる」そう言って窓を開けて下を見ました。そこには誰もいませんでした。中村さんが「私、外見てくる」 そう言ってバンガローの周りを見に行きました。 でも中村さんは「誰もいなかった」そう言いました。 私達は変だな?と思いながら布団の中に潜り込みました。するとまた女性の泣き声が聞こえてきます。「煩くて眠れない」そう思っていると男子達が私達のバンガローのドアを叩きました。 男子は「で、出たんだよ」そう言って震えていました。私達は「何が?」そう聞くと「あの泣いている女性~幽霊だったんだよ」その男子の後ろには吉沢先生がいました。 吉沢先生は男子生徒に「いいから部屋に戻れ」と声を裏返しながらそして、震えながら男子生徒に注意をしました。 私達は吉沢先生に聞きました。 「先生何があったんですか?顔色悪いし転んだんですか?唇から血が出ていますよ」そう言ったのです。吉沢先生は「実は深夜生徒達のバンガローの周りをパトロールしていたらあの女性が同じ場所で泣いていたんだ。 その女性に男子生徒が声を掛けていたので、 消灯時間過ぎてるぞ早く戻って寝なさい。そう言ったら男子生徒達は返事をしてバンガローのほうに歩いて行ったんだ。 そしたらあの女性は急に男子生徒を追いかけて行ってしかも歩いてじゃなく物凄い早さでスーと飛んでいるみたいに血を流しながら~生徒を守ろうとした私も幽霊に追いかけられてしまった~面目ない。 じゃあ先生も仮眠するから君達も早く寝なさい」 そう言うと吉沢先生は自分の部屋に戻って行きました。 次の日、私達はバンガローを管理しているおばさんに女性の幽霊の話をしました。 するとおばさんは 「見たのかい。あの子の命日は昨日だったからね。昨日があの子の誕生日だった。 バンガローに泊まったお客様は命日にあの子の幽霊を見たと言うんだよね。 私には出てこないのにね。私も会いたいものだよ。もう、何年も前の事このバンガローの管理人はあの子の家族だったんだよこのバンガローの近くに家があってね。 あの子は家族と仲良く暮らしていたんだ。 私の姉の家族なんだけどね。 バンガローがシーズンオフの時はお父さんは山の下でサラリーマンをしていたんだ。 お母さんは食堂を近くで手伝っていた。 娘は専門学校に行きながらバンガローの管理をしていた。 そんなある日お父さんは会社の帰りに交通事故で 死んでしまったんだ。あの子の彼はお父さんの部下だったんだその事故の車に彼も乗っていてね。 二人とも亡くなってしまったんだよ。 その日はあの子の誕生日でバンガローの一室に皆で集まってパーティーをする予定だったのであの子はずっと待ってたんだ。 お気に入りの白いワンピースとパンプスを履いて バンガローの外で。 その日、事故の知らせを聞いてすぐ山から降りて 病院に行って遺体と対面して姉とあの子はずっと泣いていたんだ。 ところが悪いことは重なるもんでね。 あの子と姉が少しずつ立ち直ってきた一年後 姉が手伝っていた食堂がガス爆発を起こし食堂は丸焼けで従業員に死者が出たんだその亡くなった人の中に、姉の名前もあったんだよ。 その後、家族皆亡くなってショックを受けたあの子は……仮名「洋子」は……誕生日にいつもパーティーをしていた六番の番号のバンガロー近くで山の崖から飛び降りたんだよ」 私達は驚いた「六番のバンガローってあのバンガローですか?」私達は自分達のバンガローをゆび指して言った。 管理人さんは「そうです。あのバンガローです」 そう言ったのです。 管理人さんは「そうですか~やっぱり命日に出てくるってお客様が言っていたことは本当だったんですね」 そう話すと管理人さんは私達から離れていきました。 成仏してくれる事を願っています。          七話完
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