体育の時間に

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体育の時間に

あれは、私がまだ中学一年生の時のお話です。 ある日の体育の時間体育の先生が前から五人づづで区切ってグループを作りました。 そしてマットを準備してそのマットの上で逆立ちをして一人ででんぐり返しが出来るようにグループに別れて練習をさせました。 逆立ちが一人で出来ないので私はグループの仲間が足を持ってくれてそれからでんぐり返しの練習をしていました。 毎日体育の時はその練習です。 「一ヶ月くらいたったら一人づつ前に出てマットの上で逆立ちをしてそのままでんぐり返しをするテストを行ういます テストの時は逆立ちが出来ない生徒もいると思うのでグループの人はすぐ補助が出来るように側にいるように」と言われました。 それから毎日グループ毎に練習をしました。 毎日、毎日……そしてとうとう一ヶ月後の倒立でんぐり返しの試験の日、私を含む五人の生徒が一人で逆立ちしてその体勢のままでんぐり返しをすることができませんでした。 出来ないまま私は真ん中に置いてあるマットのところに名前を呼ばれたので行きました行きました。 グループの人達も私の周りで補助をする準備をしています。 私はグループの人達に「ごめんね。お願いします」そう言ってマットのところに行きました。 先生の「はじめ!」と言う声とともにマットの上で逆立ちをしました。すると、足がすっと上がって 足を持ってくれた感覚がありました。 私は持ってくれたんだ~そう思ってその後でんぐり返しをしました。 そしてすぐ側にいたグループの人達に「ありがとう足持ってくれて結局テストの時も出来なかった迷惑かけてごめんね」そう言いました。 ところがグループの子達は「私達補助してないよ?はじめて自分で出来たねおめでとう」そう言うのです。そして先生も「おめでとうテストで出来るなんてよく頑張ったね」そう言いました。 他のグループのクラスメイトの子達も 「凄いひろみちゃん」そう言って拍手をしました。私は確かに足首を掴んで上まで持ち上げてくれた 感触もありました。 私は「先生補助してもらってましたよね?」ともう一度聞きました。 「何言ってるの一人でせっかく努力して出来るようになったんだから認めなさい」そう言いました。 グループの人達にも、もう一度聞きましたが「補助してないよ。ひろみちゃんの努力だよ」そう言いました。 そして、その後も他の人達のテストを座って見ていました。 他の四人の生徒達もテストまで一人で逆立ちして でんぐり返しができませんでした。 そして私と同じように周りで補助出来るようにグループの人達が待っていました。私はその時、見てしまったのです。 出来なかったその子達の足がすっと上がって四人とも逆立ちしてでんぐり返しを一人でやっているのです。 テストが終わると先生が言いました。 「この前の体育の時間の時は五人出来ない生徒がいたのに今日のテストは全員出来ていましたね。凄い努力です。きっと家でも逆立ちの練習をしていたんですね。よく頑張りました皆さん拍手をしましょう。このように努力をすれば必ず自分に返ってきますよ」そう言って皆で拍手をしてくれました。 その後マットを片付ける時、本番で逆立ちが出来たクラスメイトが四人とも言ったのです。 「誰かが私の足を掴んで持ち上げてくれた。捕まれた感触はある」と~でもグループの人達がその子の足を掴んでいないことは私もしっかりと見ています。 私はその時「いったい?誰が?掴んだの?」 そう心の中で思っていました。 片付けが終わって体育館の入口から出ようと思った その時……。 「ひろみ婆ちゃん疲れたよ」そう聞こえました。 私はなんとなく体育館の入口を見ました。 すると亡くなった母のお母さんつまり私の優しかったお祖母ちゃんが手を振っているのです。 「もう帰るね」そう言って入口のところで消えました。 消える前に体育館の入口に光が照らされていたので友人に「ねえ、あの光なんだろう?」と言いましたが、「光?何もないけど?」と友人は言っていました。 私が聞いた「婆ちゃん疲れたよ」その声は紛れもなく優しかった私の大好きなお祖母ちゃんの声でした。 私は「そうなんだ~お祖母ちゃんがたまたま見に来てくれた時にテストだったから出来ない子の足を 持ってくれたんだね。ありがとう」心の中で呟きました。 その次の日も体育でした。 テスト終わったけどマットの上で逆立ちをしてでんぐり返しをしてなさい。 二年でもテストやるからそう言われたので私もマットの上で逆立ちをしようとしましたが出来ませんでした。 昨日のテストではできたはずなのに。 そればかりか他の出来ないクラスメイトも全員昨日はできたのに全く出来ませんでした。 先生も不思議そうな顔をしていました。 そして当日しか出来なかった他の四人も 「やっぱり昨日は誰かに足を捕まれた」そう言っていました。 私はやっぱりお祖母ちゃんが足を持ってくれたんだ~ありがとう。心で何度も御礼を言いました。          八話完
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