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祖父が亡くなってからしばらくの間、雨の日が続いた。
そして雨が続いた最後の日は台風並みの突風と大雨だった。
祖父が最後の日の夜に言っていた、台風くらいの大雨。
その日の夜、叩き付けるような雨の音がうるさくてなかなか寝られなかった。
僕は部屋から出て外を見ようとした。どうしても外が見たかった。
しかし、雨戸が閉まっていて庭を見ることができなかった僕は、居間の窓から外を見た。
あの日の夜、祖父に聞こえていた雨の音はこんな音だったのか。
窓に打ち付けられた雨粒が下に流れていくのを見て、なぜか祖父も雨粒と一緒にどこかへ連れて行かれてしまったような気がした。
あの日以来、僕は雨音を聞くたびに何かを失ってしまいそうな気がして怖いのだ。
雨と共にどこか遠くへ流れて行ってしまうような気がして。
雨音と共に何かを、誰かを連れ去られそうな気がして。
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