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わたしは、お母さんが出ていったドアを眺め息を吐く。
うさぴーを机の上に置き何気なく真っ黒な薔薇の花を眺めた。すると、真っ黒な薔薇の花は艶やかでどこか妖しげな雰囲気を纏い、一瞬赤色に見えた。
えっ? 赤色に戻った? 目を手の甲で擦りもう一度、薔薇を見るとやっぱり真っ黒な薔薇の花のままだった。
なんだ、戻っていなかったのか残念だ。
「さてと、物置の片付けでもしようかな」
わたしは、大きく伸びをして部屋を出た。
廊下がいつもより薄暗く感じた。歩くたびにギシギシと音を立てる。ギシギシギシギシなんとなく嫌な感じがした。
その時、後ろから「沙和奈お姉ちゃん」と声をかけられた。振り返ると真紀奈が立っていた。
「あ、なんだ真紀奈か、びっくりした」
「なんだか顔色が悪いよ。大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
「そうなら良かった。わたしは、ゴミを捨てに行くところだったんだよ」
見ると、真紀奈は手に大きなゴミ袋を持っていた。
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