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わたしをじっと見つめるウサギの黒色の目からポタポタと真っ赤な血が流れている。
「ひぃー!」
わたしは、叫びウサギのぬいぐるみを放り投げた。
ウサギのぬいぐるみは床にごろんと転がった。恐怖で膝がガクガクする。
やっぱり逃げよう。悪魔になるより天使になることを選びたいけれど、目から血を流すウサギのぬいぐるみと一緒になんていられない。
わたしは、床を這うようにして逃げる。そして、物置の引き戸に手を伸ばそうとしたその時、ガラガラと引き戸が開いた。
「きゃっー!」とわたしは叫んだ。びっくりして心臓が早鐘を打った。
「沙和奈お姉ちゃんどうしたの?」
入ってきたのは真紀奈だった。
「あ、真紀奈」
「沙和奈お姉ちゃん顔が真っ青だよ。大丈夫?」
真紀奈は眉間に皺を寄せわたしの顔を見た。
「だ、大丈夫じゃないかも……」
「どうしたの?」
「ウサギのぬいぐるみが……」
「ウサギのぬいぐるみが?」
「……目から血を流しているんだよ」
わたしは、恐る恐る振り返り床に転がっているウサギのぬいぐるみを指差した。
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