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「もう八時だよ。学校に行かなきゃ、遅刻しちゃうよ。お母さん、ごちそうさまでした」
真紀奈は壁掛け時計に視線を向け椅子から立ち上がった。
「真紀奈、今日も勉強頑張ってね」
お母さんはにっこり微笑みを浮かべた。
「は~い。せっかく受かった高校なんだもん頑張るよ」
真紀奈も笑顔を浮かべて返事をした。
わたしは、そんな二人の会話をぼんやりと見つめていた。
そして、居間から出ていく真紀奈の後ろ姿を眺めた。茶色のベストに紺色と赤色のタータンチェックのスカートがとても可愛らしい制服だ。
あれは、わたしが着たかった制服だ。なのに、わたしは受験に失敗してあの制服を着ることが出来なかった。真紀奈の制服姿を見るたびに悔しくてイライラする。
「あ、お姉ちゃんも早くしないと遅刻するんじゃないの?」
わたしがキリキリと爪を噛んでいると真紀奈がくるりと振り返り言った。
その笑顔は愛らしかった。けれど、その顔をペンでグリグリ塗りつぶしてぐちゃぐちゃにしてやりたくなった。
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