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「あ、あなたは誰なの?」
そう聞いたわたしの声は震えている。
『沙和奈お姉ちゃんずっと、会いたかった。この家から出ていかないで!』
その声は地の底からわき上がってくるような声だった。
「ひ、引っ越しをすることになったのよ」
『そんなこと言わないで。お願いわたしを置いていかないで』
その声から孤独な思いがひしひし伝わってきて胸が苦しくなった。
「誰の声かな?」
わたしは、真紀奈に視線を向けて聞いた。
「わたしに聞かないでよ!」
真紀奈は真っ青になり歯をガチガチ言わせている。
「真紀奈は何かを知っているんだね?」
「聞かないで!」
真紀奈の顔はやっぱり真っ青だ。
『ねえ、どうして聞かれたくないの?』
女の子の声には深い悲しみと恨みがこもっていた。
「もうやめて!」
真紀奈が叫ぶと女の子の声が、
『どうしてやめてほしいの? 真紀奈お姉ちゃんがわたしを殺したからだよね』と言った。
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