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石碑には、もう誰も読めないで
あろう、文字が多く刻まれていた。
誰が何を書いたのだろう・・・
何を伝えたかったのか・・・
古代の人たちの、伝えようとする微かな言葉のかけらを、
想像しながら写す作業は、楽しい。
バージルは腰を叩いて背伸びをした。
さすがに中腰での作業は、きつい。
懐中時計を取り出して、時間を
確認すると、もう2時すぎだった。
空腹とのどの渇きを、体が訴えた。
バージルは、別の大きい石に座り、水筒の水を一口飲み、
ナプキンに包んであったサンドイッチを、ほおばった。
空を見上げると、黒っぽい雲が広がっている。
<雨雲になりそうだ・・早くしないと降ってくるな>
その時
誰かの視線・・・
誰かが、こちらを見ている事に気が付いた。
木の幹に、体を半分隠しているが、じっとこちらを見つめている。
女の子、10才くらいだろうか・・・
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