雨音を聴いて

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―――ザザッ。 ―――バシバシ。 ―――パチ。 ―――ゴッ。 ―――ザーッ。  とめどなく音が聞こえて目を覚ます。  朝なのに薄暗くて、カーテンを開けても日差しは入らない。  空から窓にぶつかって次々と打ち付けられるせいでそれぞれの雫もよくわからない。  今日の雨は激しすぎて全てを壊していく気がした。  否定して最初からやり直しを命じられたように。  ぶつかる個性を全て混ぜ合わせて単一化されたように。  生み出されて、叩きつけられて、流されて、見分けがつかなくなる。 「……ううん」  窓に残った小さな雫にこちら側から指を這わせた。  ゆっくり落ちていくそれを一緒に辿る。  後からぶつかった雫は先にあった雫と一緒になってどんどんスピードを上げて落ちていった。  勢いよく叩きつけられたせいで弾けるように散った雫もあった。 「……頑張れ」  指の先では小さな雫と一緒になりながらもまだゆっくりとその速度を保って落ちていく。 ―――パシッ。  新たな雫が打ち付けられた。  ぶつかってあの雫も弾けてしまった。 「あーぁ……」  指を離すとゆっくりとまだあの速度で下に向かう一筋。 「……ちゃんと居たんだ」  激しい雨の音を聞きながらその存在に勇気づけられた気がした。
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