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歩いていると石に躓いた。
それからというもの彼の頭から石が離れなかった。仕事をしているときも休んでいるときも寝ている時も。
このままではまずいと感じた彼は石を追い払おうとした。医者にかかろうかと思ったけど抵抗があったからやめた。仕方なく彼はそこら辺の訳のわからん神社に行くことにした。
なんとなく気が紛れたら幸いぐらいの気持ちで。道中彼の脳裏には石があった。
ぶつぶつ石、石、石、石…。
すると石が意思に医師になり遺志になりいしになりishiになってきてちょっと笑った。
同時に腹立った。彼は近くの石を蹴った。
転がっていく石を見た。
そんなこんなで神社に着き賽銭に手を合わした。お願いします、お願いします、お願いします、どうかこの石を僕から追い出してください。そう頼んだ。
帰り道疲れた彼は公園のベンチに座った。
下を見ると石があった。
彼はいやになった。死のうとも思った。
石、石、石、石、石…。
どうしていいか分からなく途方にくれた。
時刻は夕方になって陽も落ちてきた。
帰ろう。石と共に。
彼は落ちている石を広い胸ポケットに石を入れ触りながら帰った。
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