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歌うべき言葉が、消えた。
わたしはステージの上で立ちつくす。
気がつくとビートはもう止んでいる。
静寂。無音。殺気をはらむ暗い沈黙。
でも、だけどもう、
わたしはもう、歌えない。
言葉はもうすでに死んでしまった。
やがて客たちが騒ぎだす。おい歌えよと誰かが言う。歌え歌えと、誰かが続ける。
それから人々は呪いの言葉を吐きちらす。顔のない人々がステージを埋め、わたしは群衆に飲まれる。
息ができない。息ができない。
酸素を求める心臓が、胸の内側で暴れ出す。わたしは叫ぼうとする。わたしは大声で叫びたい。けれどわたしは叫べない。そこに言葉はない。わたしにはもう声がないのだから――
そこで目が覚める。
ああ、と深く息を吸う。
いつもの夢だ。何日かに一度かならず見る、もう見飽きるくらいに見すぎた夢。
ひどく汗をかいていた。のどがカラカラに乾いている。胸の中で、心臓がまだ大きく打ち続けている。
心の中の動揺を隠したまま、ゆっくり顔を上げる。他の乗客の姿は、すでにない。どこかの駅で降りたのだろう。窓の外はすでに暗い。もう何も見えない。
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