第1章(1)ツバサside

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が。 ジャナフ曰く、あれは「マズイんじゃないの〜?」との事。 確かに。後から冷静に考えれば、俺があんな約束を蓮葉(レンハ)と交わした事を知ったら、レノアはどう思うのだろうか? やらかしたか? と、思いつつも、今更取り消す事は出来ないし……。いや、取り消す必要もないと思った。 「……いや。 今はまだ、考える必要はないさ」 何故なら、まだ、今の俺はそんな事を考えて、答えを出せるレベルの男じゃない。 今のままじゃ、レノアも蓮葉(レンハ)も、どちらも高嶺の花で俺がどうこう出来る相手じゃないんだ。 だから、今はただ、自分の目標が最優先。 「今は目の前の下剋上を一つ一つ熟していく。全てはそれからだ」 俺がそう言うと、ジャナフは「そっか!」と歯を見せて笑った。 港街に戻って来て、新たな気持ちで下剋上に向けての再出発。 俺自身、何の問題も不安もなく歩き出そうとしていた。 けれど。 俺の周りでは、少しずつ、少しずつ……。変わり始めている事があった。 俺の気付かないところで、着実に……、……。 ピコーン、ピコーン!ピコーン、ピコーン! それは、港街に足を踏み入れ、ジャナフと共に隠れ家に戻る途中の事。 ポケットに入れていたポケ電が鳴り、俺は取り出すと着信相手を確認する。 「!……え?母さん?」 画面に表示された着信相手は母のアカリ。 それは、俺の家族内である事件が起こった事を告げる連絡だった。 …… …………。
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