女の日記

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女の日記

  ──九月三日  なんて幸せで、尊い日なのでしょう! 私は今日のこの日を、きっと一生忘れません。  ずっと大好きだったのです。あなたのことだけ。世界で一番大好きなのです。そんなあなたとまさか、やっと、やっと両思いになれました。お付き合いが出来ることになりました。   ──九月八日  嬉しくて嬉しくて、毎日が幸せです。世界が色鮮やかに染まっています。  朝は「おはよう」で始まり、夜は「おやすみ」で眠りにつきます。  片思いだったころは、あなたのことをただ想うばかりだったのに、今はこうして毎日、あなたと過ごしていられる。夢のよう!   ──九月十四日  ああ、こんなに幸せなことってあるのですね。この先もずっと、ずっと、続きますように。せめてこの蜜月の時を、存分に堪能させてください。噛みしめさせてください。神様どうか、邪魔をしないでくださいね。   ──九月二十九日  もう二度と、あなたがいない、以前の生活になんて戻りたくありませんから、時々、ネガティブな思考に絡まれて、縛られて、どうしても眠れなくなるときがあります。  幸せな日々が続くほど、いつか壊れるのではないかと怖くなって、不安になって、あなたに力いっぱい、抱きしめてほしくなる……。   ──十月二十日  ああ、こんなにも私は欲張りなのですね。自分がこれほど強欲な女だったなんて、知りませんでした。もっと、私を求めてください。もっと、あなたを愛させてください。もっと、あなたが欲しいのです。   ── 十一月九日  あなたが本当に大好きなんです。そばにいられることがもうとても嬉しくて、つい舞い上がり過ぎてしまったみたい。ああ本当に、いつからかしら。私はなんにも見えなくなっていました。   ── 十一月二十八日  もう、どうにも出来ないのかしら。だんだんあなたが離れていってしまう。いやだと手を伸ばすほどに、その距離は広がってしまう。  私が重荷になっていたのですね。私の頭はいつもあなたでいっぱいで、不安になった心は暴走して、それがいつの間にか、見えない鎖で、あなたを……。   ── 十二月三十日  今、あなたはどこにいるのでしょう。誰の隣にいるのでしょう。あなたは、逃げました。私から、逃げました。こんなに大好きなあなたを、私は失いました。
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