山田の友達の東雲君のままでよかったのにな。

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しばらくして小林先生が現れた。 どうしてこうなったのかことの経緯を山田に詰め寄る小林先生に僕が代弁した。 愛犬と重なったせいか無意識に山田を庇うような口振りになっていた。 その後僕は小林先生に教室に戻り山田の荷物をまとめるよう指示を受けた。 面倒くさいと思いながらも僕の足はいつもより早い歩行で階段を登っていた。 教室に着くと新堂が僕に近づいてきた。 文句でも言うつもりなのかと思ったが、違った。 新堂は焦った様子で山田の具合いを聞いてきた。 こいつ、本当にビビりじゃん。 面白いから僕は新堂にこう言った。 「顎の骨が割れて右目が見えないらしい。歯も折れてるし。あれは重症だね」 それを聞いた新堂の顔がみるみる青くなる。 僕はさらに追い打ちをかけた。 「ちなみに意識不明。新堂、お前まずい事したな」 顔を青くした新堂の額から脂汗が浮き出ていた。 そしてその場にへたり込み、嘔吐した。 その姿が面白すぎて僕は唇を噛んで笑うのを堪えた。 こいつアホすぎる。
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