43人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、空っぽだった席が埋まっていた。
褐色の肌に大きな絆創膏を貼った山田が、そこにいた。
まだ顔の右側が腫れていて青痣もできていた。
その姿にクラスメイト達が駆け寄る。
大丈夫か?とか、痛むか?とか。
手のひら返しが凄かった。
その中には新堂の取り巻きもいた。
新堂の天下が終わった瞬間だった。
僕は駆け寄るクラスメイト達の間から山田を呼んだ。
山田は犬の様にすぐ反応し、僕を見つけるとニカっと笑った。歯並びの良い歯を剥き出しにしながら。
うわっ、不細工。
「お、おはよう東雲!」
「おはよう山田。怪我の具合は?」
社交辞令で体調を気遣うと、なぜか山田は嬉しそうな顔をした。
やっぱり山田って不思議生物。
「大丈夫!歯も差し歯したし、あとは青タンが治れば無問題!」
「そっか。よかったな」
冷めた感じで山田にそう言って俺は自分の席に着いた。相変わらず山田は嬉しそう。
なんだか本当に犬みたいだな。
「なぁ山田、これあげる」
囲まれる山田の机に僕は購買で買ったあんぱんを投げた。見事あんぱんは山田の机の上に着地。
最初のコメントを投稿しよう!