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山田が僕を見た。
僕は背の高い彼を見た。
彼も、僕を見ていた。
そしてにこりと微笑む。笑窪が可愛らしくへこむ。
そばかすが花びらに見えた。
「よく知ってるね。もしかして読んだことある?」
耳心地のいい声が僕にそう聞く。
その声が脊髄に響いた。
「漫画は読んだことないけど、小説ならあるよ」
「え?これ小説あるの?」
「う、うん」
「へぇ。ありがとう教えてくれて。今度買ってみるわ」
短い会話だったが、物凄く緊張した。
心臓が跳ねて痛い。
「名前なんていうの?」
彼に名前を聞かれて、手のひらが汗ばむ。
僕は乾いた口を開いた。
「東雲。東雲帳です」
「かっこいい名前だね。俺は成島雲雀って言います。山田とは中学の同級。よろしくね東雲君」
同級生のはずなのに大人びた口調と落ち着いた雰囲気だから、何だか年上に感じた。
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