ゴミを愛す

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ゴミを愛す

「俺は普通になりたい。お前と出会う前の俺になりたい」 そばかすがゆらりと揺れて、水に滲む絵の具の様にじんわりと広がって原型を無くしていく。 眼鏡の奥には長いまつ毛とガラス玉の様な目が僕を見ているんだけど、それも段々と歪んで曲がっていく。 心臓に刃物を突き刺され、思いっきり引き裂かれた様な痛みに目を開ける。 うなされてかいた汗が気持ち悪く背中を伝う。 夢を見た。夢というか、少し昔の思い出を見た。 起き上がり台所に向かい、水を一杯飲み干す。 水道水独特の臭いに眉を顰め、髪を掻く。 最近あの日の夢をよく見る。 忘れてあげなきゃいけないあの人が出てきて僕を責めるんだ。 その夢を見るたびに僕は平謝りをする。 それしか出来ないから。
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