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体育館に着くともうほとんどの生徒が集まっていて色んな表情の人がいる。飛び跳ねそうなほど嬉しそうな人とか人生終わったみたいな悲しそうな人とかみんな分かりやすい。その中を歩いていくと凄く見られた。まあ俺なんかと生徒会の方が一緒にいたらなんだよってなるよな。すいません、制裁しないでねお願いします。
「奏多/奏多くん!」
「あ、二人とも!」
前から蓮と風舞姫が走ってこちらにくる。二人とも隠れていたらしいが最後のあのサプライズのせいで危なかったんじゃないかと不安だ。
「大丈夫だった?」
「僕は一緒にいた腐男子仲間とペアになったから大丈夫!」
そう聞いて安心した。風舞姫の方はもう大丈夫として心配なのは蓮の方だ。確か蓮は1人で隠れるようだったしもしかしたらがある。心配で蓮を見ると笑顔でピースしてきた。
「俺は自分の足で逃げ切ったぜ」
そう言って笑う蓮にほっと安心した。ていうかよく逃げきれたな、天才かよ。
「それより奏多くんは…」
「あー…おれは」
「僕とペアだよ」
ぎゅっと俺の腕を掴み腕を組む咲野先輩。2人も俺たちが並んで立っていたから薄々気付いていたのかやっぱり、という顔をして頭を抱えた。ずっと生徒会には気をつけろと忠告してくれた二人には申し訳ない。でも咲野先輩はそんな言うほどの人では無い、と、思う……、多分。
「大丈夫、咲野先輩優しいし」
「まあ奏多がいいならなんでもいいけど…」
「後で2人が出会った時のこと詳しく教えてね」
「だめ!奏多くんは今から明日までずーっと僕とお泊まりデートだもん!」
「「「へ?」」」
3人の間抜けな声が重なる。俺も知らなかったそのことにビックリして咲野先輩を見るとえへへと笑っていた。
「距離を置いたらって言ったのは奏多くんでしょ?」
「あ、はは……確かに…」
そんなことも言いましたね俺。兄を一時的でもやめるために弟と距離を置いたらいいんじゃないかとか、言いましたよ。
でもさ、まさかこんなことになるとは思わねえじゃん。
「だーいじょうぶ!手出したりしないから!」
その分は安心できない。騙すためだからとキスされたしなんか凄いことされたし、さっき俺も騙されたし。腹黒副会長なんかよりもずっとタチの悪そうな感じ、一緒に生活するのは少し怖い部分がある。
2人が心配そうにこちらを見てくるのには気づいている。俺も不安はあるがまあ大丈夫だと思う。
「大丈夫大丈夫、2人ともなにその顔」
「いや、だって……蓮も言ってあげてよ。僕じゃ信じないし」
蓮が耳元でこそこそと小さい声で話し始めた。
「…お前結構危ないんだよ、たまに素のやつ出すから」
「素のやつってなに…」
「……なんつうか、お前結構可愛いんだよ」
「……蓮まで風舞姫に影響された?」
「あーもう!信じないと思ったけど!」
急に何を言うかと思えば風舞姫みたいなことを言い始めた蓮に少し呆れた。少しあざとく見せたりとかしたことはあるけどあれは完全に演技だし咲野先輩の前でしなかったらいいだけの話。
「お前顔はかっこいいけど性格は結構可愛いからな、自分じゃ気づいてないかもだけど」
「可愛くはない、蓮が言ってるのは俺が猫かぶってる時とかいい子ぶりっ子の演技してる時の話だろ」
「猫かぶってなくても演技してなくても可愛い時があんだよ!」
「前まで良い性格してるとか散々からかってただろ!」
「だから!それも可愛いんだよ!」
「それは蓮の可愛いの基準おかしいだけ!」
「あ、あの二人とも痴話喧嘩してるとこ悪いけどちょーっと目立ってるかもぉ…」
風舞姫に声をかけられ当たりを見るとチラチラとこちらに目を向けている人がいた。慌てて蓮から少し離れて落ち着いて話そうとすると咲野先輩が遮った。
「ごめん話し終わったならもう行ってもいい?時間ちょっとでも無駄にしたくないからさ〜!」
「とにかく可愛くないし大丈夫だから」
ぐいぐいと引っ張ってくる咲野先輩。無駄に心配性な蓮に大丈夫だと声をかけその場を後にする。
「そういう認めないとこが不安なんだよ」
「結構ガチで奏多くんって無自覚なとこあるよね…」
「まあイケメンだしかっこいいのは確かだから気づかないのも仕方ねえかもだけど……」
「なんかまじで可愛いんだよね」
「あいつ2日後には処女喪失して帰ってくんじゃねえだろうな…」
「あー…やめてよフラグ立ったらどうすんの」
「「ガチで心配……」」
そんな二人の会話は聞こえてくるはずもなかった。
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本棚1000突破しました!読者様本当にありがとうございます!その他にもスターやコメント励みになってます!1000突破記念になにかイラストか別話(理事長攻めとか他キャラ攻め(奏多受け固定)のR系)とかを書こうかと考えております!リクエストなどありましたら教えていただきたいです!よろしくお願いします!
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