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昨日昼休みに失踪したおかげでか2人からの質問攻撃が止んだ。昨日寮でちゃんと説明したし安心した様子だったからもう吏玖先輩のことに触れられることも無くなり朝から平和に過ごしていた。
3人で雑談して朝の時間を過ごしているとクラスがザワザワし始める。なんだろうと入口を見てみると初めて見る人の姿が。黒髪のオールバックで身長は180ぐらい?ピアスとか痛そうなぐらい付いていていかにも不良って感じの見た目をしている。イケメンなのにこえーって思って見てたら目が合った瞬間ギロリと睨まれた。
そこからなぜだかずっとガンつけられてる。じとーって感じで休み時間はおろか授業中でもたまにこっちを見てる。普通に怖い。
「なあお前なんかしたの?」
「いや、なんもしてない……てか初めまして」
「でも凄い見てるよ?」
ちらりと見てみると顔ごと俺の方を見ていた。一瞬だが目が合ってしまい、その瞬間立ち上がり俺の方へ来る。椅子に座ってる俺の目の前に立ち何も話さずただ見てくるだけでクラスも成り行きを見守ってる雰囲気だ。
なになに、なんでそんな見てくんの、俺なんかした?
「えーっと…何か用かな…?」
「……ちょっとツラ貸せ」
「わかった…でもお腹減ったからコンビニでなんか買ったからでもいい?」
「あぁ」
コンビニで適当に買い中庭へと向かう。その最中なにも話さずスタスタと先を歩く。中庭についてからもあまり話そうとせず黙々とご飯を食べていると突然口を開いた。
「き、昨日は助けてくれてありがとう」
「え?」
「水と絆創膏とか昼飯も…助かった」
昨日は確かにそんなこともあった。しかし俺が助けたのは銀髪のパーカーの、イケメ、ン…。あれ?確かにこの顔……
「え?!あ、あのイケメン?!」
「やめろ、照れるだろ」
「いや、変わりすぎだろ!!」
髪色は変わってるしオールバックになってるしピアスとかバチバチに付いてるし雰囲気が違っていて気付かなかった。言われてみれば確かにそうだ。
そこからは結構スムーズに話が進んだ。さっきまでのは睨みつけていたわけじゃなく話しかけるタイミングを伺っていただけらしい。あと目を凝らしてみてしまう癖があるらしく申し訳ないと謝られた。そうと分かれば変な緊張も熔けご飯が進んだ。そのまま一緒に昼飯を食べることになり雑談しながら食べ、気になることを聞いてみる。
「髪の毛なんで黒色なの?」
「スプレーで染めてる」
「なんで?」
「バカにされるだろ…あんな色」
「勿体ない、綺麗な髪色なのに」
あれが染めてる方だと思ったがどうやらあっちが地毛らしい。凄い、あんな綺麗な髪色他の色に染めるなんて勿体ない。あっちの方が似合ってるしかっこいいからスプレーなんてやめればいいのに。
「お前やっぱ変わってるよな」
「え?うそ」
「俺と普通に話してるだろ」
いやいや、それだけでなんで俺おかしい奴認定食らってんの?別に話すぐらい良いだろ。
「この格好してたら皆怖がって話しかけてこねえから、昨日お前が話しかけてきてびっくりした」
「昨日はそんな格好じゃなかったけどね」
「今日だって普通に話してただろ、俺が話しかけたらまず逃げるぞ」
「へー、まあ不良みたいな見た目だもんな」
「別に不良ってわけではない」
昨日は急に喧嘩をふっかけられて自己防衛の為に喧嘩していたらしい。後から増援まで来て結構危なくなっていたとのこと。喧嘩したくないならそんな格好辞めればいいのに。
「なんでそんな格好してんの?」
「俺の名前…女みてえだから、舐められないように」
「美咲だっけ?いいじゃん、綺麗で」
「何処がだ女々しいだけだ」
「銀髪で美咲って他の人と違っててかっこいいじゃん」
「そうか?」
「うん、俺なんかありふれた名前だよ?まあ超気に入ってるけど」
気に入ってはいるがかっこいい名前に憧れない訳では無い。この学園に来てからかっこいい名前が多くて少し憧れてる。美咲だって他とは違ってていいと思うけど。でも嫌なら呼ばない方がいいよな?
「九条って呼んだ方がいい?」
「いや、お前は美咲でいい」
「お、もしかして特別枠に入った?」
「うるせえ」
「もしかしてお前ツンデレ」
「殴るぞ」
「いて、もう殴ってる」
どうやら不良はツンデレらしい。
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