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また翌日、雑談をしているとざわめき出す教室。デジャブを感じたが昨日とは少し声のトーンが違っていた。教室の入口を見ると昨日と同じように美咲がいたが姿が違っていた。俺の隣の隣の席だから必然的にこちらに向かってくる美咲に声をかける。
「おはよう」
「は、はよ…」
銀髪の髪を隠すように手で弄りながら少し照れくさそうに目を逸らした美咲に口がニヤけた。何こいつ可愛すぎだろ。
「昨日の今日でやめるとか素直な奴だな!」
そう言って肩を組むと余計に恥ずかしくなったのか顔が赤くなった美咲。昨日黒髪だった髪色は地毛の銀色に戻っていた。ついでにオールバックもやめて無造作ヘアになっていて男前に磨きがかかっている。ピアスの量も減り両耳に2個ずつ。怖い印象も弱まりクラス全体が恍惚とした表情を浮かべている。
「う、うるせえ!お前の意見でやめたわけじゃねえ!」
「やっぱお前ツンデレだな〜」
反応から見ても絶対俺が言ったからやめただろこいつ。まじで可愛すぎだろ。
必死に否定する美咲の脇腹を肘でつついていると2人が不思議そうに見ていた。確かに1回言われないと気づかないよな。
「こいつ美咲だよ」
「美咲って……」
「「「「「「えええええぇーーー!?!!」」」」」」
一瞬静寂に包まれた教室は全員の驚き声によって一気にうるさくなる。
「か、かっこいいね!銀髪!地毛なの?!凄い!!」
「ちょ、九条お前イケメンすぎねえ?」
「え、いや、じ、地毛だが…」
「「凄い/すげえ!かっこいいな!」」
蓮と風舞姫がぐいぐい行くもんだから美咲もおどおどとどうしていいか分からないという表情をしている。
「み、美咲様今までもかっこよかったけどよりかっこよくなった」
「や、やばい…美咲様タイプすぎっ……親衛隊入ろうかな」
「抱かれたいっ!!」
クラスの反応も予想通り大成功。美咲はあんなに不安そうにしていたがやっぱりこっちの方がよさそうだ。だってこっちの方がかっこいいし。
「ほら?バカにされてねえじゃん」
「ありがとう、奏多……」
「いやいや、俺なんもしてないよ笑」
未だに照れくさそうにしてる美咲の頭を撫でると脇腹を殴られた。普通にちょっと痛い。
「ちょっと、あれ絶対惚れてるって…」
「あぁ……奏多のやついつの間に…」
そんな二人の会話は聞こえなかった。
_______________
昼休みになり2人と美咲も仲良くなり4人で昼食を食べることになった。いいネタを見つけましたと言わんばかりに風舞姫が美咲に質問攻めして俺と蓮は呆れながらそれを見守る。可哀想には思うが風舞姫の目が美咲に移って少し感謝もしている。そんなこんなで放課後になった今。
「俺用事あるから先行くね」
「どんな用事?」
「別に大した用事じゃないよ」
「え、ちょっと」
今から行く場所とか誰に逢いに行くかを言ったらまた過保護を発動する気がして黙っておくことにする。
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