2114人が本棚に入れています
本棚に追加
(あんな笑わないでもいいだろ、こっちだってパニクってたんだから)
人を小馬鹿にしたような笑い方とか見下すような目付きとか頭から離れない。生徒会室から出た今もずっと嘲笑い続けられてるような気持ちになって周りをよく見てなかった。
ゆっくり重たい足取りで歩いていると後ろから口を押えられ何人かに引きづられる。そのままどこかの空き教室に連れ込まれ複数の男たちに囲まれた。連れ込まれた先で腕を後ろ手で縛られ口にタオルを巻かれる。
何俺今日厄日だったりする?
現実の受け入れ難さに白目を向きそうなほどだ。目の前にいるのはガラの悪そうな少しでかい男たちが3人。ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら変な道具を持っている。
もしかして強姦的なあれじゃないですよね
「噂の爽やか王子じゃん、いいやつ捕まえたな」
「偶然通りかかったんで捕まえちゃいました」
「ちょっと脱がすだけだからな〜安心してな〜」
脱がすだけって…逆に何する気だよ。
抵抗するも2人がかりで抑えられもう1人に脱がされるとあっという間だった。セーターとシャツの前ボタンだけを開けられ肩が出るぐらいまで脱がされる。ズボンのチャックを下げられた時は顔が青ざめたが下着は脱がされなくてほっと安心した。上も下も半脱衣みたいな中途半端ではあるが全部脱がされなくて良かった。しかし安心するのはまだ早くカメラを向けられぎょっとする。
「お前みたいなイケメンって服ひん剥いた写真だけでも超高価なんだよ。この写真を貰うためになんでも言うこと聞くやつもいるぐらい、な?」
なんだそれ、と切れそうにはなるが写真を撮られるだけで済むのならマシだ。パシャパシャと何枚か写真を撮った男は満足そうにカメラを眺めていた。それで終わればいいものの後ろにいた1人が最悪のことを言い出した。
「なあ、こいつの体すげえ綺麗じゃね?」
「まあ言われてみればそうだな」
「俺ちょっとヤリてえんだけど」
「お前ほんと見境ねえな…」
「とか言いながらお前もちょっと乗り気だろ」
「うーん、好みじゃねえけど…最近抜いてなかったし、そうだな」
そう言ってズボンと下着を脱いで下半身を露わにする変態共。目の前に同い年のとは思えないグロいアレを見せつけられキャパオーバーになってしまった。
やばい、泣きそう…こんなとこ来るんじゃなかった
唇に押し付けられるアレにもう我慢できず吐き気まで催した瞬間ガラガラと音を立て扉が開いた。
「お前たち、そこで何してる」
「くそっ!風紀委員だ!」
突然現れた人のおかげで押し付けていたものも離れ変態共は反対のドアから急いで逃げていった。風紀委員の人はこちらに駆け寄って縄やタオルを外してくれる。
「おい、大丈夫か?」
「………ぐすっ」
「え?!おい、な、泣くな…」
安心したからか泣きたくないのになぜか涙が溢れてくる。こんな年になって怖くて泣くとかガキすぎるだろ。必死に抑えようとしても頭から離れず体が震えてくる始末。助けてくれてありがとうって伝えたいのに口を開けば泣き声が出そうでぎゅっと閉じることしか出来ない。
「大丈夫だ、もう安心だから、泣くな」
急に抱きしめられ頭をポンポンと撫でられた。さっきのこともあり男に抱きしめられるなんて少し怖かったが助けてくれた人だからか、この人の体温が暖かいからかなぜか安心する。腕の中にいると安全だからか涙も治まってきた。
「まじですいません…」
「いや、それよりもう大丈夫か?」
「はい」
「少し話を聞きたいから風紀委員室へ来てもらってもいいか?」
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!