日常

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「な、なんすかこの地獄絵図……」 話を聞きたいからと連れてこられたはいいものの目の前の光景に驚きすぎて立ち止まっていた。風紀委員室に入る前から中からバタバタと音がしていてどうしたのかと思っていたが中に入ると悲惨そのもの。床は書類やら何やらで見えないほどまで汚れて机の上もぐちゃぐちゃ、換気をしていないのか空気も悪い。しかも生徒が暴れ回るように走り回っている。 「やばい!今日提出の書類がないんだけど!!」 「こない部屋汚かったらそりゃないやろ!!しっかり探せ!!」 「でもこれ持っていかないとなんだけど!」 「はよ持っていって帰ってきてから探せばええやろ!」 「もう!なんで俺ばっかり!!!」 「あかん!手が回らん!!猫の手でも借りたいってこのことや!!」 バッタバタっと音を立てて1人の生徒が走ってどこかへ行く。指示をしていた関西弁の人がこちらを見て目を見開いた。 「先輩どこ行ってたんすか!隣の子が先輩のなんなんかは知らんけどこの仕事だけ早くしてください!」 「わ、わかった……という事で悪い、少し待っていてもらってもいいか」 「は、はい……」 端にあったソファに座り風紀委員長の仕事が終わるのを待つ。手持ち無沙汰で暇だったから目の前のごちゃついたテーブルを片付けながら辺りを見渡す。なんて言うか生徒会とは真逆。生徒会は部屋も綺麗だしゆっくりくつろいでるように見えたけど風紀委員は部屋も汚いしみんなも忙しそう。仕事が忙しすぎてか泣きそうになっている子までいる。皆目の下にクマができているのは当たり前、疲れ方が異常過ぎて見ていて心配だ。 「これ、寮長の!」 「そんな重要じゃないから後回し!これやっといて!」 「で、でも…」 走って帰ってきた子が帰ってきてまたパシリにされそうになっている。さっきまで半泣きだったけどついに涙のダムを崩壊させそうになっていた。部外者だから大人しくしているべきなんだろうけどもう見ていて可哀想で声をかけてしまった。寮長って聞こえたしたまに遊びに行くから大丈夫だろ。 「重要じゃないなら俺もっていきましょうか?」 「へ?!い、いいんですか!?お願いします!」 「はい」 俺が承諾した瞬間泣きそうだった目に一気に光が宿った。嬉しそうな顔をして頭を下げる風紀委員の方にどうどうと落ち着かせる。ここまで来たら他にもなにか手伝いたい。 「ついでになんか持っていくもんとかありますか?」 「これとこれと、これもいいですか?」 「はい」 「あ、ついでに風紀委員の担当先生から書類貰ってきてもらっても…?」 「はい、大丈夫ですよ」 「うぇーん、ありがとぉっ」 「仕事頑張ってください」 少し提出期限を過ぎていたようで頭を下げたが寮長もいつも通り笑顔で接してくれた。少し遊んでいかないかと誘われたが他の先生に届ける仕事もあったため断る。運が良かったのか提出期限を過ぎた書類ばかりだったのに怒られることは1回もなくスムーズにことが運んだ。 帰ってきて少しは落ち着いているかと思ったがより忙しさを増している気がする。お腹がなっていることにも気づいてないのかひたすら仕事を続ける風紀委員の人が心配で帰るのも申し訳ない。助けてもらった恩もあるしなにか手伝えることを探すことにした。 「あかん!新歓の書類がない!どないしよ!」 「あ、あった!!なんや!?急に出てきたな!俺寝なさ過ぎか?!」 「ああ!!制裁報告リスト無くなっちゃったぁ」 「あ、あれ?!急に出てきた?!なんで?!」 「だれかぁ!!コピー用紙切れたから貰ってきてぇ」 「誰かわかんないけどありがとお!」 「行事の予算案の書類どこ?!今月の分もないのに来月の分までなくなったら終わりだよぉ」 「あれ?!2つともある!!」 「あれ?急に楽になってきましたね……」 「よしこのままやらないといけないこと全部済ましちゃおか!」
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