風紀委員会

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「そういえば須崎君ってなんでここに来たの?」 「「あ」」 紀章先輩と俺の声が被さる。完全にお互い目的を忘れていた。 「悪い、完全に忘れてた」 「あー……もう時効とかないですか?」 「出来なくもないが、それでいいのか?」 「思い出したくないんでその方が有難いっす」 「ならそうするか」 完全に忘れてたし俺ももう思い出したくないため無かったことにしてもらうことに。2人でそうすることに決めると後ろからまたまたひょいっと葉上先輩が出てきた。 「何かあったの?」 「まあ、強姦未遂?的なあれですかね」 あはは、なんて苦笑いで返すと場の空気が一気に凍る。あれ?俺なんかやらかしました?とか思うけど何未遂された人とか風紀には入れないとかそういう感じ? 「だから目元赤いん?」 「ん、これはまあ……」 いつの間にか近くに来ていた藤原先輩が俺の目元を優しく触った。さっき少し泣いたけどまさか赤くなっていたとは。もう結構経ったし落ち着いてもいいと思うんだけど。 「怖かったやろ?大丈夫なん?」 「その前にもいろいろあってちょっと精神やられちゃって」 「未遂野郎?」 「いや、生徒会の人たちとちょっと…」 あんなおちゃらけでいたのに急に意外と優しい声で言われるから俺もなんとなく話してしまった。 生徒会にされたことを大まかにではあるが話し終えると藤原先輩が貼り付けた笑みになっていた。あ、これ多分怒ってるやつだと、直感で分かった。意外と優しいんだと思っていると藤原先輩の後ろからもドスの効いた声が聞こえてくる。 「あいつら、うちの可愛い後輩に何してくれてんだ」 「流石猿どもですね、ほんと嫌になる」 「須崎、悪かった、アイツらにまで…」 「いえいえ!未遂ですし!俺も危機感なかったのが悪いですから」 「悪いのは完全にあっちやねんから自分のせいになんか絶対したらあかんで」 「わ、かりました」 「ん、ええ子や」 そう言って頭を撫でられると言いようのない恥ずかしさというかなんというか、そんなものに包まれる。この年であんな優しく諭されることも無かったからか少しむず痒い。 それにしてもまだ知り合って数時間なのにここまで優しくしてくれてほんといい人たちだな 「生徒会のやつらにも良いとこはあるかもですね」 「あんなやつらにあるわけないよ」 「生徒会のおかげで風紀の人達に会えたんですから」 巡り合わせた縁だなーなんて思い嘘偽りのない笑顔が溢れる。 「〜〜〜〜〜っ!!!かっわいい!ほんとにこの子可愛いんだけど!」 「あかん、今のは普通にかわええわ、後輩として負けたわ」 「うわあ、俺にも可愛い後輩できちゃった!!」 全員に囲まれて頭をぐしゃぐしゃと雑に撫でられる。さっき男に囲まれた時は怖くて仕方なかったけどここの人達の優しさが暖かすぎて笑いが止まらない。 「おい、須崎が困ってるだろ」 埋もれかけていた俺を引き出してくれた紀章先輩。別に嫌じゃなかったけど流石に長かったからありがたい。紀章先輩にステイと言われ大人しく待っているのを見ると完全に手懐けられている。 「こいつら少しノリすぎるところがあるが、いいヤツらだから安心しろ」 「はい、今ので分かりました!」 「良かった」 頭をわしゃわしゃと撫でられる。もしかして俺も手懐けられちゃうんじゃないかこれ? 「明日からよろしくな」 「はい!明日からよろしくお願いします」
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