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帰ってくる頃にはもう8時ぐらいで辺りは真っ暗になっていた。これはまた要らぬ心配をかけてしまうんじゃ…なんて思いながら寮へと戻る。
「ただいまぁ…」
リビングの明かりは付いていて蓮がいるんだと分かり少し緊張する。ドアを開けると予想通り少しムスッとした顔でお出迎えされた。
「おかえり、随分と遅いお帰りで」
刺々しい声で帰りが遅いと文句を言う蓮に苦笑いしてしまう。門限とかないし、お前は俺の母さんか、とかまあ色々思っちゃうよな。でも心配してくれてるんだってわかってるからなんとも言えない。
「色々ありまして…」
「俺らに何も伝えず?」
「いやあ、だって心配性じゃん?」
まあ今回ばかりは伝えなかったことに少し後悔したけど。もし言ってたら帰りの遅い俺を心配して迎えに来てくれたりしてたかも、いや多分一緒に着いてきてくれただろう。そしたらあんなこともあんなことも起きなかったはず。
今日あったことなんて言ったらもう片時も離れなくなるんじゃないかと思うし。伝えない方がいいよな。
「そりゃ心配するだろ、お前危機感ないし」
「そんなことないと思うけどなあ」
そりゃあ何回か危ない時はあったけど何とかなってはいる。蓮たちが心配するほどでは無い気がするのだが。
「あんだよ!もうまじでっ!」
「うわっ」
突然腕を引っ張られソファに倒れ込む。抵抗する隙もなく俺は押し倒されていた。ていうかなんだ今の神業なに?引っ張られて普通俺が蓮の上に覆い被さるはずなのにいつの間にかぐるんって場所変わってたんだけど。
「こうやってすぐ押し倒される!もう少し気を張れって!」
「いや、だって蓮だしなあ」
「だっ、それはそうだけど!男は全員狼って言うだろ?!」
「分かったよ、蓮以外の男にはしっかり気張るから」
「……はあ、もういいけどさ」
なにか諦めたように溜息をつき俺の上から退く蓮。相変わらず俺を見て諦めたような残念がるような目を向けてくる。
「心配して損したわ」
ふんっと少し拗ねたようにそっぽ向く蓮。蓮の優しさとか心配性すぎるとことか拗ねてるとことか色々可愛く見えてきた。堪らず後ろからわしゃわしゃと頭を撫でまくる。
「うわっ!?なにすんだよ!」
「いやー?なんか蓮が可愛く見えて」
「はあ?!可愛くねえよ!」
やめろー!なんて叫んでいるが形だけの抵抗で満更でもなさそう。こういうところが可愛いんだよな。
「そういえば今日何してたんだよ」
「えー、なんだっけー?」
「おい、こっち見ろ」
「あ、俺風呂入らないと〜」
「逃がさねえぞ」
「離してくださ〜い」
「茶化してもだめだからな!なんかあったろ!」
「んー?」
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