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「「風紀委員?!」」
「そー、入ることになりましたー」
朝から昨日は何があったのかとうるさくてはぐらかしていたがどうせ知られることになるんだしと時間のある昼休みに伝えることにした。案の定2人の反応は予想していた通り驚いた後にめちゃくちゃ心配される。
しかし七夕祭というものが終わるまでの期間限定だということを伝えると少しだけ安心してくれた。
「まずは食堂行こ」
「そうだね…」
「昼飯食うか」
席を立った時まだ少し見慣れない髪色が目に入る。見た様子じゃひとりみたいだし誘ってもいいだろうか。
「美咲誘ってもいい?」
「おお!いいじゃん!一緒に食おうぜ」
「うわあ、不良×爽やか!王道学園のカプだ!」
「お前のその感じ久々だな…」
いつもの発作を出す風舞姫と苦笑いの蓮、それを見ながら俺も苦笑い。本調子に戻り手の付けられなくなった風舞姫は放っておいて美咲のもとへ。
「なあ美咲も一緒に昼飯行かない?」
「いいのか?」
「うん!2人も食べたいって」
「なら、行く」
立ち上がった美咲に蓮が肩を組んだ。びっくりした顔の美咲が離れようとしたが気にせず肩を組んだまま食堂へと向かい出す。
「なあ、俺も美咲って呼んでい?」
「別に、いいけど……」
「俺のことも蓮って呼べよ」
「お、おう……お前馴れ馴れしいな」
「え、だめ?」
「だめじゃねえけど」
2人の後をついて行く。コミュ力おばけの蓮ならツンデレ美咲とでもすぐ仲良くなれるだろうと安心した。
「陽向も一緒にご飯食いたかったな」
ぼそりと呟いたその声は隣にいた風舞姫に聞こえていたらしい。
「そうだね、少しぐらい顔みたいな」
「あいつ大丈夫かな」
「生徒会に捕まりっぱなしらしいけど、まあ悪いことは聞いてないから今は安心かな」
「なら、いいけど」
ご飯を食べていたらキャーキャーと地響きのようにうるさい声が聞こえてきた。まさかと思い目を向けると想像通り生徒会の人達のお出ましのようだ。
「…タイミング最悪」
「どうしたの?」
「ちょっと生徒会今見たくないんだよね」
そう言うと3人ともスっと移動して隠してくれた。特に理由も何も聞かずに隠してくれる3人には感謝しか無かった。チラッと間から生徒会の様子を見ていたがどうやら中心にいる陽向に夢中らしくこちらには目も向けなかったためほっと安心した。
あれ、吏玖先輩がいない……?
生徒会メンバー全員と陽向が居たが吏玖の姿だけが見えなかった気がする。もしかしたら俺の見間違いかもしれないけど。まあいないとしても毎日毎回一緒にいる訳では無いだろうし気にすることでもないだろう。そう思いメニューを見ているとあるものが目に止まった
「え?!なにこれ、こんなんあったっけ!」
「あー、多分これも限定だな」
新しくスタミナ丼が追加されていた。スタミナ丼なんて庶民的なご飯があるのかと驚くと限定メニューだと教えてもらった。基本ここのメニューはお金持ちの坊ちゃんたちが食べるのに納得のいく豪華なメニューばかり。とてつもなく美味しいのだが一般の出の俺からしたら慣れない味が多い。久々に馴染みのあるものを食べたい気持ちになったが今日はどうしてもこのステーキ定食を食べたい。昨日から絶対食べると決めていたから。こうなったらいつもの手段。
「れーん」
「はいはい分かってるよ、俺がこれ頼んだらいいんだろ」
「よっしゃ、ありがと〜」
流石優しさの塊蓮くん。両手を合わせて感謝していると美咲が首を傾げた。
「何してんだ?」
「俺これとこれ食べたいから蓮とわけっこすんの」
「2つとも頼めばいいじゃねえか」
「まあそーなんだけどさ、腹八分目が1番美味しいんだよね」
「ふーん、そういうもんか」
待ち望んだ料理が届いた。ステーキ定食はもう絶品すぎて舌が蕩けるしスタミナ丼は懐かしながらもやっぱり金持ち高らしく高級な足がしてこれもまたほっぺが落ちそうなほど美味しかった。ぱくぱくと食べ進めていると美咲の料理が目に入った。白魚のソテーらしくそれも美味しそうだった。
「美咲のも美味そうだな」
「お、おう」
明日はこれを食べようと決めているとフォークで取ったまま美咲の動きが止まった。もうお腹いっぱいなのかと不思議に思っているとそのフォークを俺に向けてきた。
「お、俺のもやる……」
「まじかありがと」
ありがたくそのまま食べると少し驚いた顔をしたがその後すぐに嬉しそうな顔をした。ステーキ定食とスタミナ丼でガッツリしたものを食べていたからレモン風味のソテーがサッパリして滅茶苦茶美味しく感じた。
「うまっ!」
「なら、よかった」
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