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放課後になり風紀委員の仕事をするために皆と別れる。最後の最後まで不安そうに心配していたがちゃんと風紀委員の人達のことは説明して納得もしてもらった。これ以上何かあったら四六時中着いてまわられそうだと思い何も無いように気をつけようと心に決める。
そして遂にお仕事開始。だがまずは何をするか教えてもらわないことには始まらない。俺の教育係は葉上先輩らしく葉上先輩の横の空いてるデスクに座らされた。
「今日から須崎君には庶務の代理として働いてもらいます!」
「はい」
「基本は書類の整理、提出、備品の管理、たまーにあるかないかの来客の対応などなど、サポート係をしてもらいます!」
「分かりました」
「指示したことをやってくれればいいから、あんまり難しく考えないでいいからね」
特に難しいことは風紀委員長や先輩たちの役割らしく俺は簡単なことだけさせてもらうらしい。その分いっぱい仕事して先輩たちの負担を少しでも減らそう。
「と言っても昨日は指示してなくて全部やってもらっちゃったから言うこともないかもだけど」
「たまたまっすよ、整理してたら先輩たちが叫んでた資料見つけちゃって」
「それが凄すぎるんだけどね」
あははと笑う先輩が少し言いづらそうな顔をしてもじもじしはじめた。
「言っちゃえば雑用なんだけど嫌じゃない?」 「全然!寧ろ雑用でもなんでも、力になれるなら嬉しいですよ」
「うぅっ、やっぱり須崎くんは天使だよ」
「泣かないでくださいよ、ほら仕事始めましょ」
「うん!気合い入ったありがとね!」
そう言ってパソコンに向き合った先輩の背中は小さいのに頼もしかった。小さくてもやっぱり3年の先輩なのだから当たり前だけど。今日は紀章先輩はお呼ばれしているらしく部室には居らず4人体制で始まる。
「これコピーしといてくれん?」
「はい!」
「ごめん、この資料まとめといてくれる?」
「了解です!」
「この資料〇〇先生に出しといて欲しい!」
「分かりました!」
言われた通り基本は書類の整理提出だけだった。来客などは基本生徒会の仕事だからこちらには来ない、生徒会が機能してない今も新学期が落ち着いたから来客は少なく対応はなかった。基本言われたことをやるだけの作業だが意外と楽しい。中学は部活にも縁がなかったし友人と遊ぶぐらいしかやることがなかったためこういう放課後の過ごし方をしたことがなかった。高校に入っならバイトをしたいと思っていたがそれもこの学園じゃ叶わないと思っていた。それがここだとバイト感覚でできて結構楽しい。忙しさよりも楽しさを見出したためあっという間に時間が過ぎていった。
「ありがとね、今日はもう帰っていいよ」
「先輩たちは」
「もう少しで終わるから終わったらご飯食べて寮に戻るよ」
「ほんとっすか?」
「うん!心配してくれてありがとね」
「じゃあお先に失礼します」
※三人称に視点入れ替え
「失礼します」
「あれ?須崎くん、忘れ物?」
「違います、これ差し入れです」
須崎の手に持たれていたのは3人分の飲み物だった。何が好みか分からなかった須崎は適当に当たり障りのないものを買って差し入れに来たのだ。それだけでも3人からしたら嬉しくて涙が出そうだったのだがそれだけでは終わらなかった。
「あと先輩たち甘いの苦手ですか?」
「僕は好きだよ!」
「俺も好きやで〜」
「俺も!甘いの大好き」
良かったです、そう言って取り出したのは個包装されたチョコレートだった。いつもなら何か盛られてるんじゃないかと疑うところだが須崎の人柄の良さを知っている3人は疑わず直ぐにそれを手にした。
「あんまり根詰めないで適度に休んでくださいね」
あまり長居するのも迷惑だと思いそれだけ渡して須崎はすぐに風紀委員室を後にした。残された3人はチョコレートを手に持ちながらその場につっ立っていた。
正直に言うと少し、いやかなり疲れていた。須崎のおかげでマシになったものの仕事の量は計り知れずまだまだ終わる気配がない。キリがいいところで、というわけで今日は終わるが明日締切のものはまだまだある。
疲れがピークに来ていたところがあの爽やかな人当たりのいい屈託のない笑みを見た瞬間身体がスっとし疲れが吹っ飛んだ。
「はあ、なんか僕一日中働けるかも」
「こんな労られんの久々っすもんね」
「ちゃっかり可愛い後輩すんねんからずるいわ」
「ね、あの笑顔ほんと可愛い」
「後光差してましたもんね」
「俺なんか眩しすぎて目凝らしちゃった」
ボソリボソリと呟きぬがら会話をしていたら風紀委員室のドアが開いた。誰かと思うと風紀委員長、紀章先輩が入ってきた。
「なんだ、まだ居たのか」
「「「先輩……」」」
「ど、どうした」
ぽやっとした顔の3人に疲れが溜まりすぎてやられたのかと不安になった紀章。しかしさっきの出来事はなぜか秘密にしたくなった。3人ともそう思ったらしく見つめ合い笑いあったあと同時に口を開く。
「「「内緒です」」」
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