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かっこいいを新幹線の速度で通過して、ちょっと危ういというのがあたしの見解だ。
とりわけたった今、その印象は増しに増した。
「おい、なんとか言えよ」
「のっぺらぼうみたいなそのツラ、いつまで続けられるかね」
今まさに、クラスの強者たちにどさっと胸倉をつかまれ、殴られる寸前というのに、危機感が一ミリもない。
今自分が置かれている状況にすら関心がないかのような。
ようするに、やる気のない顔をしていた。
教室にいるときと寸分たがわない顔で、囲まれている九龍は呟いた。
「いいけど、べつに」
「はぁ?」
なんならあくびでも出そうな顔で、九龍は言をつぐ。
「集団リンチとか、してもらってもいいけど」
別にこの世に未練とかねーし、と吐き捨てられた言葉。
「やるなら、さっさと殴ってくんね?」
けだるげにつぶやくその瞳には、くすぶった光。
仲間をひきつれて暴行にきたやつらよりよほど異彩を放っている。
「なんだよこいつ、こわ」
風向きが、変わった。
うすきみわる的な空気が、不良たちのあいだに充満する。
すっと、その空気から一束、息を吸いこんだ。
今だ。
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