取引

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 「結婚相手が決まったんだ」  「あっそう。それはそれはおめでとうございます。私には1ミリも関係ないことですけどね」  本心から言うと、射るような目で壱哉がこちらを見た。  「本当にそうだと思うか?」  「ど、どういうことよ?周りくどい言い方してないでハッキリ言いなさいよ」  「俺の相手は真壁(まかべ)博武(ひろむ)の孫娘らしい」  真壁博武と言えば、政府の要職を歴任し、政治に疎い私でも名前を知っているほど有名な政治家だ。  その、孫娘。  ─ということは。  「そう。仁希の初恋の相手の可能性が極めて高い」  壱哉が勝ち誇ったような顔をして言い放った。  目の前が、真っ暗になっていく。  でもまだだ。  単なる壱哉の嫌がらせかもしれない。  「な、何でそんなこと分かるのよ?」  必死に食い下がる私を、壱哉は無慈悲な事実で突き放した。  「仁希が彼女に出会ったパーティーの参加者に、真壁議員の名前があったことは確認済みだ。まだ詳しいことは知らされていないが、適齢期ということは、年齢的にも当てはまる」    
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