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学校で
僕は学校についてからクラスの担任の先生の説明に驚いた。
「皆~席に着け、皆が放課後行っている部活の事
なんだが~言いにくいんだけど、コンピューター部以外は今週一杯で廃止だ」
僕は「先生~もうすぐ試合なんです。そんな困ります。レギュラーになる為に頑張っていたんです」
「私も困ります。そんな急に」
「何とかならないんですか?」
担任の中林進は「先生も廃止にはしたくない。でもコンピューター部に入るか?帰ってパソコンを習うか?独自で勉強しないと、君達はみんな就職や高校大学だって受からないんだぞ~将来の為なんだ。
今のうちにコンピューターの勉強をして資格を取って経済的に裕福な大人になってくれ。
先生も学校の仕事に加えてコンピューターの勉強もしなければならないんだ。寝る間も惜しんでの勉強は正直きついよ」
そう言った。
中林進はクラスの生徒に手紙を配った。
僕は「先生これは~」
中林進は言った。「来週から放課後この学校に
パソコンのスペシャリスト先生が無料で教えに来てくれるから予約をしておいた方がいいぞ。
早く予約しないとパソコン教室は満席になってしまうからな」
僕はこの時、そこまでコンピューターの勉強なんてしなくても、若いしその時期になれば簡単に就職
なんてできるそんな甘い考えしかなかった。
当然僕はパソコンを教えてくれる先生が放課後に来ると言っても、申し込む気なんてさらさらなかった。
「おい、孝志~放課後パソコン申し込む?俺はやらないすぐ一杯になりそうだしさーあまりたくさんの申し込みがあった場合は抽選とか、書いてあるぜ」
「優也~俺申し込もうと思うんだ、どうせ来週からサッカー部は廃止になるんだし、どうせやるなら
コンピューターに強くなっておかないと、優也就職できなかったり、高校受からなかったり後で大変になるってテレビで言ってたぞ、給料に差がつくかも知れないんだぞ!今からコンピューターしっかり勉強しないと大変な事になるぞ」
「正彦も放課後パソコン申し込む?」
「俺は優也と同じ考えだよ。俺達まだ中学一年だぜ?そんな事している暇があったら青春を楽しんだ方がいいし、人生一度っきりだよ。サッカー部廃止になったしね」
「正彦~そうだよね~来週学校終わったらさ~うちに来ない?千ピースの漫画とかゲームとかあるぜー」
「優也行っていいのー?そう言えばお前ん家金持ちの豪邸なんだって?一度も行ったことないけど、
孝志から聞いたよ」
優也は「それほどでもないよ」そう言って笑っていた。
この時、優也は自分の家庭まで変わってしまうなんて思ってもいなかった。この時から格差社会の波が少しずつ少しずつ身近に迫って来ているなんて思っていなかった。
この日、優也が自宅に帰ると両親の怒鳴り声が聞こえた。
「あなた!どういう事なの?クビってあなたはコンピューターを作っている会社よね?なのに何であなたがクビになるの?あなたは後輩に指導してたんじゃないの?どうするの?この家のローンは?買ったばかりじゃない」
「そんな事言っても、来月からコンピューターの
スペシャリストを雇うから年寄りはいらないって
言われたんだ。それに俺はコンピューターを作る
作業員だパソコンなんて少ししか出来ない、作るのとやるのでは違うからな~。とにかく仕事探さないと」
「だからパソコンくらい習ったら?って言ったよね?明日から私が生活を支えます。
国の話だとコンピューターに強い人の方が稼げるらしいからね。あなた、コンピューター作っていると言っても作れる人はたくさんいると思う。
国がお金を出してくれるならあなた早めに会社早退して役所に申請してお金もらって習って来て。
就職先決まらないわよ」
僕はその話を玄関で聞いて驚いた。
父さんの会社はパソコンやルーターなどを作っている。「ブライド」という海外でも有名な会社だった。父さんはその会社で重役だった。
今まで部下に指導する指導係の父さんがまさかクビになるとは夢にも思ってもいなかった。
父さんが……。クビ?今まで仕事何年も休まずに
働いていた父さんが~。
その時、「ただいまーどうした?優也~玄関で~
中に入れよ。母さんうちの大学来週からコンピューターのスペシャリストが来て教えてくれるんだって~申し込みたいんだけど、保護者のサイン書いて
ほしいんだけど~あれ?父さん今日は早いね」
「あ、友紀お帰り~友紀はパソコンとかコンピューターに詳しい?」
「それが全く駄目だから習おうと思ってるんだ」
「ただいまーどうしたの?父さん、母さん」
「何でもないよ、みゆき夕食にするからみんな手を洗って」
「ただいまー」
「お帰り良美~母さん夕飯作り手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ手を洗ってきて」
優也は四人兄弟の末っ子だった。
これから優也は国が決めた「リモートIT法案」の本当の恐ろしさを知ることになる。
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