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残された家族
優也は一万円で母親の友人の石田小百合から
パソコン教室の無料申込書を買って自宅に戻った。
優也は東公園から自宅に戻ってすぐ両親に聞いた。
「父さん、母さん今申込書を買ってきたんだけど
石田さんシングルマザーで貯金もほとんど搾取されてどうするのかな?
これ俺が受け取ってしまったら~コンピューターの勉強しないとどこも雇って貰えないんじゃないの?」
母の進藤友子と父の進藤真一は言った。
「だからコンピューターの勉強をして経済的に困っている親友や身内を助けるんだよ」
優也は聞いた。
「それはどう言うこと?」
進藤真一と友子は言った。
「国は冷たい事ばかりじゃないんだよ。私達が一つ資格を取ってその証明書を役所に持って行って経済的に助けたい人の申請をすれば、その人が生活できるお金が一年間その人に渡されるんだよ。
申請してその人がお金を貰う事ができればそのお金でコンピューター教室の申込書を買ってコンピューターを習う事ができるんだよ。
そしたら石田さんもまた誰かを助けることができる。
そして石田さんがコンピューターの資格をたくさん取ることができたら貯金と同じ額が国から返されるんだよ。だからいつか優也も周りで困っている人を助けられるように出来る時にコンピューターの勉強をするんだよ。
優也はまだ若いんだ今のうちに勉強しておけば
いくつも資格を取ることができるさ」
優也は父と母にそう言われたが納得した訳じゃなかった。何故?貯金まで搾取されなければならないのか?後で返してくれると言っても、もともと石田
さんの貯金じゃないか?
子供もまだ小学生だと言うのに~
優也は聞いた
「日本の家庭は大黒柱が亡くなると貯金をほとんど搾取されるの?」
父の進藤真一は答えた。
「違うよ優也~大黒柱が亡くなってほとんど貯金を取り上げられてしまう家庭は決まってるんだよ裕福な住宅街に住んでいて贅沢三昧していてお金がたくさんある家で子供が三人以上の家庭。
旦那さんだけが働いて奥さんが働いてない家庭
学生なのにアルバイトもしないで全て旦那さんのお金で賄っている家庭
働ける家族がいるのに旦那さん以外の家族は働こうとしない家庭。
病気の人は役所で申請すればいいんだけどね。
このうち二つ以上当てはまると貯金をほとんど搾取されてしまうのさ。
石田さんの家は毎日贅沢三昧で毎週パーティーを開いていた友子も毎週呼ばれていたよ。そしてこの
高級住宅街だからね」
優也はぞっとした。
「うちの家庭も当てはまってるよね?高級住宅街で子供は四人もいる~働いても貯金は搾取されてしまう。そしたら働いても意味ないじゃん!」
進藤真一は困った顔をして言った。
「お父さんだけ働いているとそうなるけど、父親以外の家族が働いてコンピューター資格を持っていると貯金はほとんど搾取されないんだよ。
コンピューターの資格の数で決まるんだ。
だから今からみんなで力をあわせて資格獲得するんだよ。うちは大家族だ石田さんの家は一人っ子
だからね」
優也は父にそう説明されたがまだ納得しなかった。
なんだか国のこのやり方はどんどん不公平な世の中になっていくそんな気がした。
もし、コンピューターの覚えが若くてもなかなか覚えられなかったら?
僕も記憶力がいい方ではない。
歳をとると余計に覚える人と覚えが悪い人の差が激しくなるのではないか?
保育園や幼稚園の幼い子供の母親はきっと我が子に必死に無理やりコンピューターの勉強をさせるようになるのではないか?
優也のこの時の心配が後に現実のものになっていく
そしてこの法案によって人々の暮らしは変わっていくことになる。
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