三ヶ月後

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三ヶ月後

進藤優也はあれから学校から帰るとコンピューター教室に通った。 コンピューターの勉強をしてこなかった優也だったが、以外と覚えるのが早かった。 勿論、教室だけじゃなく家でもしっかり勉強をしていた。 優也の通っている埼玉県上福岡中学一年A組は最近いつもギスギスしていた。 しんと静まり返った教室は昔のように朝きたら昨日見たテレビの話やお笑いの話をしている生徒は居なくなった。 挨拶をしても皆気づかない様子で自分が習っているコンピューター教室の本を真剣に見ていた。 そんな時、島田正彦が進藤優也に声を掛けてきた。 「優也お前パソコンどの辺りまでできる? 資格の試験受けられるくらいまでできるようになった?」 優也は言った。 「僕は一番簡単な試験を受けようと思うんだ。 正彦が持っているテキストだと僕はこのテスト用の問題まで進んだよ」 正彦は愕然とした。 「お前、もうそんなところまで進んだのか? パソコンそんなにできなかったよな?」 正彦は優也に言った。 優也は「まあな~できなかったよ。でも必死で教室でも家でも勉強すれば何とかなるもんだよ」 田村孝志も進藤優也と島田正彦に声を掛けてきた。 「どのくらいパソコンできるようになった? 噂で聞いたんだけどさ~これからどんどんコンピューター授業が厳しくなるらしいぜ、覚えがあまりにも悪いと学校に残って厳しくパソコンの専門の先生に指導されるらしいぜ~学校もパソコンの先生を 雇っているわけだから出来ない生徒がいると学校側がパソコン教室の先生をクビにするらしいよ」 「えっ?クビに?」 「そうだよ。それに俺達もあまり学校でパソコンの授業についていくことが出来ないと、この学校から追い出されて強制的にどこかの学校に転校させられるんだよ。 もっと丁寧にパソコン授業を教えてくれる学校に~」田村孝志は優也と正彦にそう言った。 正彦や優也よりもリモート法案に敏感で一番にコンピューターの勉強を始めた田村孝志だった。 そして将来就職もできなくなると島田正彦や進藤優也に教えてくれた友人だった。 それなのに、まさか埼玉県上福岡中学校一年A組の中で一番始めに強制的に引っ越してしまうことになるなんてこの時進藤優也はまだ知らなかった。 この日から各学校、幼稚園では資格に向けて更に コンピューターの勉強が厳しくなっていった。 そして、覚えが早い生徒と遅い生徒の差はだんだんと開いていった。 覚えが早くて資格をすぐ取る事ができたものは 特別教室に移される事になった。 中林進はこの日クラスの皆に言った。 「今日からコンピューター授業も厳しくなる。 いいかクラスの皆はライバルだ!だからしっかり勉強して資格を取ってコンピューター特別教室に行 くんだ。 覚えが悪い生徒はもっと丁寧に教えてくれる先生がいる学校に引っ越してもらう。これは強制だ! だからしっかり勉強するように」 クラスメイトは「はい」そう答えて必死に勉強していた。 進藤優也はこの中の誰かがきっと……。 転校させられる。覚えが悪い人も覚えがいい人も 関係ないじゃないか?それぞれ違って当たり前 父さんと母さんにそう教わったはずなのに……。 そんな事を進藤優也は考えていた。 その時、中林進は言った。 「半年で資格を二つ取る事が出来た生徒は、特別教室に入る事ができるぞ!そして、希望の高校に推薦で入る事ができるんだからな」 孝志 正彦 優也は「希望の高校」その言葉に心が動いていた。 進藤優也は言った。「先生それはレベルの高い高校でも推薦で入れるんですか?」 中林進は「そうだ、この国は今はコンピューターが一番なんだよ。コンピューター1つで好きな高校に入れるから受験勉強しなくてもいいんだぞ!」 勉強嫌いな進藤優也は受験勉強しなくてもいいという日本の制度に心が躍った。 「これからは勉強しないでコンピューターだけやっておこう。勉強よりましだ」 優也はそんな考えが頭を過った。
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