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眷属神たち
「はあ? 全くなっちゃいねぇ! 手水舎でお清めもせず、鳥居もくぐらず、参道も歩かずに脇の砂利道からコソコソ本殿まで近づいてきて、鈴も鳴らさず願い事だけしてくなんざァ、参拝とは言わねぇよ!」
氷雨はいたくご立腹の様子だ。
「まぁまぁ。今どきの若い子が二礼二拍手一礼できてるだけでも偉いと思いますけどねぇ?」
白雨が氷雨をとりなした。
彼らは雨の眷属神。
この龍口明神社の御祭神である『五頭竜大神』に仕える『雨の使徒』である。
少女が去ったあとの小さな本殿の中では喧々諤々した言い合いが続いていた。
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