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淡い初恋
「問題ないよ。堅苦しくなくていい」
スラリとした成人男性の姿を借りた五頭龍大神は、絹のような長い銀髪を組紐で一つに束ね、まるでしなやかな柳のような立ち姿で微笑むと秋雨をそう制した。
気を良くした春時雨は嬉しそうに報告する。
「主様、またあの子がお参りに来てたんですよ!」
「ああ、祈りは届いているよ。彼女は今どき珍しく、熱心にお参りしてくれるからね」
「ケッ、毎日毎日『マナトくんと友達になれますように』だと? 甘ったるくて蕁麻疹が出るぜ!」
「まぁ、氷雨、そんなことを言うものではないわ。いつの時代も恋とは胸躍るものですよ」
白雨はうっとりとした面持ちで微笑んだ。
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