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いつの間にこうなったのかなんて覚えていないし、思い出せそうにもない。
とっくの昔に崩れるように彼の上に倒れ込んでいた私は、息も絶え絶えに縋りついて顔を埋めた。
『莉乃さん…、隠さないで。顔見せて?』
「やだぁ……恥ずかしぃ…から…っ…」
『お願い。こっち向いてよ?』
「………っ」
張り付いた髪を掻き分けられて、ぐちゃぐちゃに乱れきった顔を晒される。
恥ずかしくてしょうがないのに、綺麗に整った顔立ちの彼に至近距離でまじまじと見つめられるから、顔が燃えるように熱くなって、死んでしまいたい衝動に駆られるんだけど……。
『かわいい…。そんな顔するの、俺の前だけにしてね』
心配しなくても、私をこんなにするのは佑真しかいないよ…。
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