30 深みに嵌る

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心からの叫びは声にはならず。 強すぎる快感から何とかして逃げようと試みたけれど、経験豊富でこなれたあざと貴公子に捕まれば、そんなの成功するはずもなく。 撫で回されて、探し当てられて、力が入らなくなった後はもう駄目だった。 言うことをきかない身体は、されるがままにすべてを受け入れるしかなくて…。 自分のものじゃないみたいな、甘ったるい声が漏れ出て止まらなくて…。 何もかもを彼に委ねてしまったせいで、ひたすら快楽に溺れ続けるしかない――――…。 もう何もわからない、考えられない…と目を瞑って意識を手放そうとすれば、それを許さないというように最奥まで暴かれて、再び絶頂まで連れていかれる。 「もっ……だめ…、おかしくなる…」 『なっちゃっていいよ』 「ぁ、ぁっ、…ぁあ」 こんなの知らない―――…。 こんなに深くまで繋がれるなんて知らなかった。 お互いの肌が触れ合うだけで、本当に溶けるんじゃないかと思うほど、信じられないほど気持ちがいい…。 嵌り込んだら最後、深く深くまで引っ張られて、自力じゃ抜け出せなくなる―――――…。
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