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春が訪れた。
花畑はまた命の宝石を咲かせた。
僕は魂を風船花に繋ぎ、花の番人を務め続けた。
何十年でも続ける気概でいたのだが、彼女は本当に強い人間だったらしい。
遠くに、薄緑のカーディガンと白いワンピースが見えた。
じわりと春の楽園が滲む。
焦がれ続けた最愛の人がそこにいた。
少し、痩せてしまったようだ。凜と咲く睡蓮のようだった雰囲気は、出会った頃に戻っていた。
罪悪感が胸を刺す。本当に合わせる顔がない。前に進んでいた君を、僕が台無しにしてしまったのだ。
今、君は何を想っているのだろう。
悲哀に満ちたその目からは、やがて涙が溢れ出した。
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