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二 「同級生とは距離がある」2
ある日、未来ちゃんが怒りながら美月ちゃんと話をしていた。
中学の同級生で、T高に通っている友だちとカラオケに行って、一緒について来たT高の男子と仲良くなり、LINEの登録をしたあと、家に帰って確認をすると、リムられていたらしい。「リムる」とは、リムーブする。簡単に言えば「取り除く・削除する・フォローから外す」という意味らしい。
「クソ、腹が立つ」
未来ちゃんがプンプンする。
「どうせその場限りの軽いやつなんだから、相手にしない方が良かったんだよ」
さすが美月ちゃんは大人だ。私は頷くしかできないけど。
いつ頃かは忘れたけど、美月ちゃんと未来ちゃんが「みづみきコンビ」として呼ばれるようになった。クラスの男子が付けたニックネームで、まるで卓球の「○○ペア」みたいだけど、二人にはお笑いが似合っているということで、「ペア」が「コンビ」になった。
余談はさておき、二人がスマホを観ながら盛り上がって話をしていたとき、私も手招きされて会話に入れてくれた。
二人から話を聞いていると、どうやら投稿小説、Web小説のことらしい。
二人から、ひなたちゃんも入らない。と誘われた。
SNS・Twitter(ツイッター)とかで、怖い事件に巻き込まれるニュースを観ることがあるし、ブログなども「炎上」とかのニュースをよく聞くので、私は尻込みした。
そもそも顔見知りの同級生にも人見知りする私が、見も知らない人の文句や非難に耐えられるはずがない。どうして知らない人に文句を言われなきゃいけないのか全く理解ができない。
他からの介入をブロックして、自分たちだけで楽しむ方法もあるらしい。
ん? じゃあLINEでよくない? と思ったけど、意見は挟まない。
それから誹謗・中傷、個人批判、政治的誘導、思想強要的な行為もしてはいけないことになっている。それに「出会う」ことも禁止されているらしい。SNSなどとは一線を引いてるというのだ。すくなくともマッチングアプリでもないらしい。異性との恋愛トラブルにはならないということだ。
でも、私には文才など当然ないし、日記も続かないから。と断って、二人の誘いから離れた。あとは口を挟まず、話を聞くだけに徹した。
「この本屋さん、有名じゃない。名前知ってる」
「未来、本屋さんじゃないから、出版社だから」
「そこは正解を察して」
「未来の言うとおり、確かに、有名で、K社やS社が主催なら大手出版社だから、セキュリティーも含めて安心かもね。さっき、Web小説とか投稿小説で検索したら、上位にヒットしてるし。大勢の人が検索してる証拠だ。候補に含めるか」
「じゃあ、もうちょっと調べて、様子を見てからにする」
「そうしよっか。焦ることないし」
二人の会話を聞いていると、イケイケのジメージがあったけど、意外と慎重なんだと思った。
私は読書が嫌いなわけじゃない。
中学のとき、憧れの人がいつも読書をしていたから、その影響もあり、高校の通学時や自宅での時間で読書をする。
私が読書をするとすれば二種類に限定される。
ジャンルは恋愛ものであったり、詩集であったりする。
あまり長いものやミステリー、サスペンス、ホラー系は怖いし、二転三転やどんでん返しには頭がついていけないので、まず読まない。
その点、詩は好きだ。ほぼ一ページで完結するからだ。
いつ、どのページで本を閉じても、しばらく読まなくても、ストーリーを忘れる心配がいらない。続きを心配する必要が無い。一話完結が良い。
ただ、難があるとすれば、たまに難しい漢字が出てくることだ。フリガナを振って欲しいが、詩集ではあまりフリガナを見かけない。意味はわからないけど読み流す。飛ばして読むのだ。
恋愛ものはキュンとするので好きだ。でも悲しい恋物語は好まない。ハッピーエンドが良い。
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