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三 「WEB小説って」1
先日、みづみきコンビが話していたWEB小説のことが気になった。
見るだけ。覗くだけ。活動するわけじゃない。
私は誰に言うわけでもないのに言い訳をしながらスマホで検索をした。
いくつかの主催者がヒットした。
「小説家を目指す……」とか、「書籍化を目指す……」とか、「本を出版する……」とか、本格的なフレーズが並んでいた。そこまでは望んでいません。また誰に返事をしているのかわからないことを思いながら先頭からクリックした。
「無料で読める」に気持ちが引きつけられた。
もしゲームの課金みたいにお金を支払わなければならないとすれば、とても手が出せない。支払額のことなど意識せず、楽しみだけを求めて実感のない加算金額があとで請求される。恐ろしいことだ。親に叱られる。
でもこれはちょっと安心できる。なにしろ無料なんだから。
次に進んだ。注目の作品が紹介されていたり、新着小説が表示されている。
わかりやすい気がした。
検索したところまで戻り、別の会社も確認した。
読後、感想など五項目で評価するのもあった。
これは無理だ。私に感想など書けない。
検索した中からいくつか確認をしたけど、K社がわかりやすいと思った。
登録してみようか。
しばらく悩んだあげく、創作活動は別として、「読み専」というものが存在するようなので、登録だけしても良いように思った。
この「読み専」とは、作品は投稿しないけれど、読むことだけを専属にした参加型だ。
これなら私にもできそうだと思った。
登録に際して一番悩んで迷ったのが筆名だ。
自分の名前にして、もし、みづみきコンビにバレたなら、誘われたのに断った反面、とても気まずくなる。人間関係が壊れてしまう。例え、友だちの末端であったとしてもそれは困る。しかし、憧れのアイドルや芸能人の名前を真似する訳にもいかない。う~ん。
憧れでふと思いついた人がいた。「真田葵」さん。しかし、そのままだと偽名を使うことになる。これも人としてどうなのかと思う。ならば、イニシャルならどうだろう。
そう。「A・S」であれば、いろんな名前が想像できる。真田葵さんと直接つながることも想像しにくい。
結局、筆名を「A・S」にして登録を済ませた。
自分のホームページが目に映る。
自己紹介。「初心者ですがよろしくお願いします。」と正直に書いた。
まだ、作品を投稿できるものがない。
ジッと自分のホームページを眺めた。まるでフリーズしているみたいだ。
何も動かない。
こんなことをしてても時間の無駄だ。とりあえず他の人の作品を覗き見ることにした。
が、誰の作品を読んで良いのわからなかった。
注目の作品を確認する。文字数の表示を見てビックリした。数万字と表示されている。
無理、無理。そんなにも読めない。
素直に諦めてスマホを机に置いた。
やはり、何か書かなければ誰も相手にはしてくれないのだろう。
でも、物語など書けない。エッセイも無理。詩も無理。
なんのために登録したのやら。
とりあえず机から立って、台所へ行ったとき、ふと思いついた。
エッセイや詩は無理だけど、日記ならどうにかなるかも。
冷たいお茶をコップに入れて部屋へ戻った。
先ずは作品名だ。「A・S日記」にした。
最初に書いたのが自己紹介。
年齢は書かず、誕生日の月日だけを記載。
星座も記載。
好きな歌手名といくつかの曲を書き並べる。
好きな小説のジャンルは恋愛もの。
初めてなのでまだ戸惑っています。
いたらないところもありますが、よろしくお願いします。
と最後に付け足した。
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