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三 「WEB小説って」10
あれ以来、私はフォロワーさんの作品をよく読むようになった。よく、というのはほぼ毎日のようにおじゃまをして少しずつ読み進めている。もちろん読んだ痕跡が残るようにハートマークをクリックするし、たまに応援コメントもしている。「がんばってください。」とか「応援しています。」といった類いの簡単なコメントだけど。正直言えばAさんの真似事みたいだけど。おかげで他のフォロワーさんからもコメントをいただけるようにもなった。そんな活動の中で、ふと気になったことがある。
AさんとBさんの関係である。
二人は互いをフォローしていて交流もある。
二人のコメントを見ていると、少し他のフォロワーさんとは違う次元にいるような気がした。もちろん明確にしていることもある。
以前、Aさんは文章には相性というものがある。と書いていたことだ。その後、Bさんの作品を読んでいると、読みやすさもさることながら読書感がとても良いと。心が軽やかになる。気持ちが和む。落ち着く。もちろん読後感も良いですよ。私にはBさんの言葉や文章が心地よいのだと。そういう意味のことを書いていた。
私はその感想を読んで、思わずキュンとした。
Bさんもそれに応えて、Aさんの作品が良いと応えていたが、Bさんはそれだけではない。Aさんが毎回更新する作品について、読んだあとに投稿する感想がすごいのだ。まるで文庫本によくある「あとがき」のような「解説」のような、ときには市販されている小説の帯になるような宣伝文句的な言葉も書き加えられている。
グッと惹きつけられる。
ネタバレになりそうなことも書いているけど、Aさんはそんなことなど微塵も気にしていない。それ以上にBさんが書いてくれたことに、感謝し、お礼を伝え、とても喜んで、会話とも言える交流を楽しんでいる。
二人を観ていて思うことは、相手の作品を好み、相手の文章力や小説の構成力を認め合い、お互いにリスペクトし合っていることが伝わってくるのだ。
「例え、みんなが離れていっても、私はあなたをフォローし続ける」といったように。
歌詞で言うならば、「世界中を敵にしても」みたいな感じなのだ。
そこに双方の信頼があり、信用があり、信念もある。
本来の私情に何があっても、支えるという揺るぎない心を持ち続ける勇気があるのだ。
動じない強さかもしれない。
人はこれを「絆」と呼ぶのではないかと、ふと思ったのだ。いや、感じたのだ。
とても微笑ましくなる関係性が構築されている。
私は二人の関係性が好きだ。
二人の間に割って入りたいとまではおこがましくて思わないけど、隅っこでも良いから、二人とふれあえる、交流できる、関われる位置に、いつまでもいたいと思っている。
ただ、二人は互いにだけ心を注いでいるわけではない。他のフォロワーさんにも自分の思いを行動にしている。
例えば、フォロワーさんの作品は一つの梯子だと思う。作品には段があり、完了まで読めば、次の作品へと新しい梯子が追加される。
フォロワーさんが一人増えれば、また新しい梯子が付け足されていく。途中まで読めば、「この作品を読んだ人は、こんな作品も読んでいます。」と他の作品が紹介されている。いくつか紹介されている中に、フォロワーさんの作品が紹介されているとクリックして読みにいく。また新しい梯子が付け足されていく。付け足されていく梯子は翼のように広がり、知識と友情の空へと舞い上がる。今の自分より少しかもしれないが、成長へと進んでいるような気がする。
今の自分より一歩前に。
一歩ずつ前進。
私はここでの交流に、やり甲斐と達成感と充実感を味わっていた。
文学というものに、純粋に、真摯に、大切に、向き合っている気がした。
とても幸せな気分だ。
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