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三 「WEB小説って」14
どれだけ時間が経っただろう。実感がない。
私の頬に涙が流れていた。
ふと、「退会」の文字が浮かんだ。
いや、それはない。だって朝にはAさんがコメントを書いていた。自分の意思で退会をするなら、フォロワーさんたちに何かコメントを届けるはずだ。あの人はそれくらいの律儀さというか、常識というか、感性は持っている。
じゃあ、どうして。
私は朝のコメント内容を思い出した。
教師がある若い教師をイジメている動画がニュースで流された件について、ある人が書いていた。
Aさんはそこにコメントをしていた。
「イジメという表現で済まして良い問題ではない。目にカレーを流し込むなど、これは傷害にあたると。人を、子供を、教える立ち場の人が率先して同僚を痛めつけている。それが教師であるというのは……」
というようなことを書いていた。
もしかしたら、そのコメントが誹謗・中傷にあたるとして、規約違反で削除された。ということなのだろうか。確かに、非難していることは事実だ。
事件として取り上げられたニュースについて意見を述べ、加害者を否定すれば、誹謗・中傷・暴言になるということなの?
私は「先生」と呼ばれる仕事をしている人には、「人格に徳」を持って欲しいと思うけど、そんなことは、今回Aさんを弁護する理由にはならないようだ。わかってる。わかっているけど、なぜかくやしい。
結局、ここでは、あくまでも文学の交流の場である。という運営側の判断だということだ。
往生際が悪いけど、納得しがたい。仕方ないことかもしれないけど、不満も残る。
私は何度も同じことを考えた。
だって、毎日、コツコツと時間と労力を使って、星やハート、そして何よりも大事なコメントなど、積み重ねてきたものが失われた。それもなんの予告もなしに、なんの相談もなしに、なんの忠告もなしに、いきなり消されたのだ。
書いた当事者に注意し、忠告し、不適切な記載内容を削除し、という手順もなしに、警告もなしに、いきなり全てを削除とは、その部分だけでは済まないというのは、どうだろうか?
また当事者の分だけにとどまらず、他のフォロワーさんの分にまで影響が出るというのはおかしいと思う。だってフォロワーさんを個人攻撃した件とは異質だと思うけど。
そういえば、復帰した人のコメントを読んだことがある。
「いきなり消すんだからすげぇな!」
私はそのコメントを読んだとき、いやいや、すぐにアカウントを作り直して戻ってくるその素早さとあなたの度胸もすごいですよ。と言いたいなぁなどと、あのときはのんきに思った。
そんなときにふと私は思ったんだ。彼女の作品にはイジメ、排除、孤立や孤独がエピソードとして取り上げられていた。もしかしたら人生の中で疎外感を経験しながら生きてきたのではないかと。だからイジメや誹謗・中傷・暴言に対して感情が出て反応したのではないかと想像した。それを確かめる術はないけど、寂しいことには変わりはない。
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