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四 「私に仲間は……」8
やはり幹事をして良かった。心が晴れた。スッキリした。少し自信も持てた。
そう思った瞬間、真田さんが突拍子もない発言をした。
「あんた、そこに愛は○○○○?」
「へっ?」私は素っ頓狂な声を上げた。
「ごめんなさい。今のは冗談です」
真田さんが顔を赤らめて訂正した。
ビックリしたぁ。この人、冗談を言うんだ。
私は目を丸くして真田さんの顔を見続けた。
「こっち観ないで」
真田さんが照れ隠しに言う。
私は真田さんと少し打ち解けた気になって、ふと、気になったことを訊ねた。
「真田さん、あの、Web小説のこと詳しいようだけど、どこかで投稿活動でもしてるの?」
「投稿はしてないけど、無料だから読むこともあるわよ。登録しなくても読むだけならできるところもあるから。好きな作品もあったわよ」
「そうなんだ」
と返事をした瞬間、筆名のことが頭に浮かんだ。ダメ、絶対、真田さんには言えない。ドキドキした。急に緊張を覚えた。そのままスルーして。
「あっそうだ。ちょっと気になったんだけど」
ものすごく緊張した。身体が強張ってくるのがわかる。
「あなたのフォロワーさんって、二人だけ?」
「へっ? ちっ、違います。十数名います。いろんな人のことを全部話をしたらややこしくなると思って。他のフォロワーさんとも交流はあります」
「そうですよね。失礼なことを訊きました」
「いえ」
まだ緊張がほぐれないでいた。
「じゃあ、もうひとつ」
「あっ、はい」
今度こそ来たぁ。やばい。私の筆名のことは許して。
「男と女に友情は成立するのかって、テレビのトーク番組でたまに取り上げられることあるじゃない。それって、あなたはどう思う? 二人のフォロワーさんのことをずっと話していたから」
「恋愛については、ちょっと私にはなんとも言えません」
「私はね、Web小説の世界だとありえると思うの。実際に出会えている男女にも友情はあるって答える人もいるけど、付け足しがあるの」
「付け足しってなんですか?」
「離婚してシングルマザーになった芸能人の人が言ってたことだけど、女にも男友達はいる。友情はあるけど、男は友だちでも異性として見てる。女として見てるってこと。恋愛感情に変わる可能性があるってこと。でも、Web小説の世界だと実際に会うわけじゃないから、友情関係が保たれるっていう利点はあると思うけど」
「そう言われるとそうですね」
私は胸をなで下ろしながら賛同した。ちょっと筆名から話題が逸れたのでホッとした。
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