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四 「私に仲間は……」9
真田さんは、「まずは作品から」と言ってたけど、私の場合はフォロワーさんとの「交流」からだ。私に対して☆マークを入れてくれたり、応援してくれたり、励ましてくれたり、ときには支えてくれたり、それが繰り返されることで、「人としての情」というものが生み出され、深く、大きく、「大切な存在」へと育まれてきたんだ。そしていつか私にも憧れの二人のように「絆」ができれば、そんなフォロワーさんができれば、とても幸せだ。
真田さんに私の意見を話すのは次の機会にしようと思った。
私は「人間性」を重視したいと。
真田さんは、「行為ある交流は事実」と言ったような、「その行為に嘘はないでしょ」とか言ってたし、たぶん、真田さんなら、「それもありなんじゃない」と微笑みながらしれっと言うのだろう。
そうだよね。真田さんは自分の意見を強要するような人じゃない。
私のために、私が求めることを、私が望んでいることを、大切な人を信じることに気付かせてくれたんだ。
ありがとう。
少し会話が途切れそうになったとき、風見君が教室から出てきた。
「ごめん、ごめん。任せっきりで」
と言いながら風見君が走ってきた。
はぁ、これぞ天の助け。
「風見君、ほったらかしは酷いんじゃない」
真田さんが注意してくれた。
風見君は謝りながら、これから同窓会の記念写真と撮るから教室の中へ入るように言われた。
教室内に入り、端っこに位置したが、私は真田さんの隣にいた。
私は笑顔を向けて撮影することができた。
帰り間際、風見君が真田さんに告白をした。
私は目が点になり、二人を見つめた。しかし、ここで言う?
「真田さん、俺と付き合ってください」
「無理」
真田さんの瞬殺が見事に決まる。
風見君はカクンと身体を揺らす。しかし、彼もめげずに再告白する。
「友だちからお願いします」
「もう、間に合ってます」
「間に合ってるって?」
「ひなたさんが私の友だちだから。だからもう間に合ってます」
真田さんが私のことを友だちだと認めてくれた。天にも昇る感動だ。うれしい。幸せだ。
あれから彼女とは何度か連絡を取り合い、親しい交流ができるようになった。
彼女は大好きなお祖母ちゃんが癌で亡くなり、とても悲しんだそうだ。
だから東京の理科大学を目指して、将来、薬の研究をしたい夢があると打ち明けてくれた。
私は受験勉強の邪魔をしないように、連絡は土曜日と日曜日に限定する。と自分なりにルールを決めた。
もう友だちになれたから、これからは私のことをもっと話がしたい。
いっぱい、いっぱい、大切なことを聞いてもらおう。
葵さん、紹介します。
私の仲間を。
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