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一 「憧れの人に会いたくて」8
日曜日のお昼過ぎに再チャレンジした。
彼女が、昨日の話ならと言いかけたとき、私は告白のように打ち明けた。
「私が、真田さんと話がしたいんです。中学のときはほとんど話したことがなかったけど、ずっと気になっていたんです。いつか、話がしたいと思っていたんです。あの、変な意味じゃないです。変って言ったら悪いかな。今はジェンダーもあることだし。あの、えっと、その。国代先生も会いたがっていたし、実は他にも会いたがっている人もいて」
「西内さん、あのですね。とりあえず気持ちは伝わっていますから。そんなに焦って喋らないで、落ち着いてください」
私は一瞬期待を持った。
「ちょっと考えさせてください。来週、返事をします」
私は彼女のスマホの電話番号を聞いて電話を切った。
一週間、モヤモヤした気持ちで過ごした。とても長く感じた。
決戦の土曜日が来た。
決戦と言っても真田さんと争うわけではない。どちらかと言えば懇願だ。
私は緊張気味で電話をかけた。
彼女はすぐに出てくれた。
「一応考えたんだけど」
私はまずいと察知して素直に本音を伝えた。
「あの、私、真田さんに相談したいことっていうか、聞いて欲しい話があるんです。電話ではなく、ちゃんと会って話がしたいんです」
「相談、話したいことって、中学のときは話したことがないのに、どうして私なのですか?」
「真田さんは信用できるし、信頼もできる人だから。あの、実は、真田さんのことが気になって、ずっと観てたんです。だから」
「とりあえず気持ちはわかりました。そういうことでしたら出ることにします」
「ほんとですか。約束ですよ」
私は飛び上がりそうになりながら、尚かつ、あえて、「約束」という言葉を付け足した。
彼女は、「はい」と一言の返事を残して電話を切った。
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