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 これが男の人の征服欲か。海の近くにいたとき海がなんでも消してくれるような気がしていたけれど、ここには山しかない。山は自分で登って下りなければならない。だから登山には一度もチャレンジしていない。いつも山を見ているだけ。  いつもより少しだけ雑に服を脱がす。 「好きだったら順番とか気にしないと思う。現に私はあなたの過去とか知りたくないし」  私は言った。 「それは男と女の違いだよ」 「同じ人間よ」  Tシャツは上にめくられて、ブラは下にずらされ、パンツをするりと脱がされて、変な格好だし、特にブラはホックを外してくれないと痛いとぼんやり思った。 「固執して執着してしまうんだ」 「ぱっと好きになられたことしかないわ。今朝だって」  私のせいで少年が死んだ。その真実にたじろぐ。  その時点でいつもはしないことをしていた。舐めて、私の体を広げる。こういうとき、冷静になって自分がどういう格好になっているかとか考えてはいけないのだろう。虐げられている気分。嫉妬の怖さを知る。愛じゃないのかもしれない。箍が外れた獣だ。ひょいっと私の中の壁を壊してくれた。体の奥からメリっと音がした気がしたが、血は出ていなさそうだった。
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