くまぴょんの大冒険:呪われた海賊

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くまぴょんの大冒険:呪われた海賊

 こぐまのくまぴょんは海の近くに住んでいます。  海岸で遊んで、大好きなシャケおにぎりを食べて毎日楽しく暮らしています。  ある日、くまぴょんは沖にある小島に行こうと決心します。  なんと、そこには海賊の残した宝物があるという話を聞いたからです。  くまぴょんは帽子をかぶって、虫除けスプレーをして、ハンカチと懐中電灯をポシェットに入れました。 「よし!準備できたぞ!出発だ!」  海岸からボートに乗り込み、くまぴょんは海へと漕ぎ出しました。  穏やかな海、くまぴょんは時々跳ねる魚や、空を飛ぶ海鳥を見ながら楽しく小島へと進んでいいます。 「宝物が手に入ったら何しよう。はちみつを買ってー、しゃけおにぎりも沢山食べてー……」  おやおや、くまぴょんはもう宝物を見つけた気でいるようです。  みんなは宝物を見つけたら何が欲しいかな?  やがて小島に近づいてくると、突然海が荒れ始めました。  くまぴょんは怖くなり、お家に引き返そうとしますが波が強くてボートが進みません。  みるみるうちにくまぴょんの乗ったボートは小島の海岸に打ち寄せられてしまいました。  くまぴょんは怖くて泣き出しそうです。  その時、突然大雨が降ってきたため島の中で雨宿りをしようとかけていきました。  島の中はジャングルになっていました。  見たこともない木が沢山生えています。  見たこともない虫が、 「ぎちぎちーーー」  と飛んでいて、  見たこともない鳥が、 「ききーーーーー」  と鳴いています。  くまぴょんは不安で仕方ありませんでしたが、雨宿りができる場所を探している間に、目の前に洞窟が現れました。 「もしかして……ここに宝物があるのかな?」  くまぴょんは勇気を出して、懐中電灯を取り出して洞窟の中に進んでみることにしました。  くまぴょんが懐中電灯を照らした瞬間、 ばさばさばさばさばさーーーーーー!!!  沢山のこうもりが洞窟の中から飛び出してきました。 「わーーーー!こうもりだー!!」  くまぴょんはびっくりして頭を抱えてしゃがみこんでしました。  やがて音がしなくなり、こうもりたちが飛び去ったと思い目を開けると、なんと、目の前に赤ちゃんこうもりがいました。  くまぴょんは再び驚きましたが、あかちゃんこうもりが泣いているので、心配になり声をかけました。 「どうしたの?なんで泣いているの?」 「おとうさんとおかあさんと離れちゃったんだ、えーん、寂しいよー眩しいよー」  あかちゃんこうもりはきーちゃんという名前で、えーん、えーんと泣いているのでくまぴょんは一緒に洞窟の中に入ってあげることにしました。  実は、くまぴょんも一人で洞窟に行くのは怖かったのですが、それは内緒にしておきました。 「くまぴょんはどうして洞窟に来たの?」 「ぼくは海賊の宝物を探しに来たんだ。きーちゃん、見たことある?」  きーちゃんは少し考えた後、小さな羽をバタバタと動かしました。 「あ!この洞窟の奥に宝箱があるって聞いたよ!でも、僕たちは開いたところを見たことないな。それに、時々こわーい声が聞こえてくるんだ。うぅうぅーーーーって」  それを聞いてくまぴょんは背中がぶるぶるっと震えましたが、きーちゃんに怖がりだと知られない様に強がって怖くないふりをしました。  そしてどんどん洞窟の奥へと進んでいくと、古い古い宝箱がありました。 「これが宝箱だね、くまぴょん、すごいね!見つかったね!」  くまぴょんの周りを喜んで飛び回るきーちゃん。  でも、なんだか怖い声が聞こえてきました。 うぅうぅーーーーーー!!!  その時です。  突然宝箱が開いて中から海賊の幽霊が飛び出してきました。 「「わーーーー!!!」」  くまぴょんときーちゃんはおどろいて叫びました。 「うぅうぅーーー……。よくぞこうもりたちを追い払ってくれたな。俺はこうもりが苦手でな、宝箱をもって洞窟に隠れていたら、こうもりが戻ってきて出ることができなくなったんだ。お礼にお前たちを食べてやろう!赤ちゃんこうもりなんて怖くないからな!」  海賊の幽霊はこわーい顔をしてふたりに襲いかかってきます。 「わー!怖いよくまぴょん!」 「きーちゃん!ここは僕がなんとかするからきーちゃんは先に逃げて!」  くまぴょんはきーちゃんを守ろうと、先に行かせました。  くまぴょんは怖くて足が震えていますが、何とか時間を稼ごうと、懐中電灯を武器に幽霊と戦います。 「はっはっは!そんな懐中電灯など効かぬわ!」  幽霊に懐中電灯を落とされてしまい、辺りがまっくらになりました。  あぶない!幽霊がくまぴょんを食べようとしたその時です!  くまぴょんは急いで暗闇の中でポシェットに手を入れました。 「えーいこれでどうだー!」  くまぴょんが虫除けスプレーを辺りにシュシューっと振りかけると、幽霊の動きが一瞬止まりました。 「ぐあ!何だこの匂いは!?くそーこうなったら大きな口で丸呑みにしてやる!」  幽霊は手当たり次第に口を大きく開けてバクバクと噛みついてきます。  くまぴょんがもうダメだとおもったその時です!  洞窟の入り口からたくさんのこうもりたちが勢いよく飛んできました! 「くまぴょん!大丈夫!?」  きーちゃんが大人のこうもりたちに助けを呼びに行ってくれたのです。   「ぐわーーー!!こうもりは苦手なんだー!!やられるーーー!」  海賊の幽霊はこうもりたちの攻撃をうけて、消えていきました。 「やったーーー!くまぴょん!幽霊をやっつけたよ!」 「ありがとうきーちゃん!こわかったよーー!」  くまぴょんは我慢できずにしばらく泣いてしまいましたが、きーちゃんに慰められてやっと泣き止みました。 「くまぴょん、宝箱の中を見てみようよ!」  きーちゃんに言われるまでくまぴょんは宝箱のことなどすっかり忘れてしまっていましたが、懐中電灯を拾って、恐る恐る宝箱を開けてみました。  すると、そこには一枚の地図が入っていました。 「何だろう?……あ!宝物の地図だ!」  それは宝物のありかを示した地図でした。 「きーちゃん、ありがとう。僕はまた宝物を探しに出掛けてみるよ!」 「くまぴょん、ありがとう。くまぴょんみたいに勇気があるこぐまなら、きっと宝物も見つかるよ!」  そうして、くまぴょんはきーちゃんと別れ、穏やかになった海に向けて再びボートを漕ぎ出しました。  くまぴょんは次はどこに行くのでしょうか。  それはまた次回のお楽しみ。  今日のおはなしはこれでおしまい。  おやすみなさい。
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