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一度だけ、プランナーに確認したことがあるのだ。挙式もだが、披露宴にどれだけの費用がかかるか。
「……ニホンは単価、高いデスしね」
「そうなのだよ。同棲始めたからって、入籍してはい終わり! じゃ、味気ないしね?」
せっかくホテル勤務なのだから、それくらいは憧れている部分もある。裕司とはまだ詳しいことを話し合ってはいないが……二年近く前に、両家の挨拶は済ませたし、問題ないわけではないが。
やはり……金額が上から三桁以上の価格には、お互いの貯金を併せてもギリギリだ。無闇に今の生活をカツカツにしたくはない。
「…………見たいデス。マトーさんのドレス姿」
「ん?」
「きっと、綺麗デス」
「……ありがと」
大学時代からの友人である皐月とは違い、同じ職場で年の差はあれど友人でいてくれる苺鈴は嬉しい存在だ。
グラスを作業台に置いてから、髪型が崩れないように頭を撫でてやると、ふにゃんとした笑顔になった。
それからは、作業に集中して次の宴会に取り組み……一日の仕事を終えるのだった。
「……俺らの結婚ねぇ?」
一日も終わり、裕司の待ってる家に帰ってから伝えると……裕司はとっておきのフルーツワインのボトルを出してくれたので、仕事終わりの軽い晩酌をすることになった。
「……まあ、王ちゃんは私のドレス姿見たいって言ってくれたけど」
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