第1話 結婚概念?

2/3
前へ
/286ページ
次へ
 一度だけ、プランナーに確認したことがあるのだ。挙式もだが、披露宴にどれだけの費用がかかるか。 「……ニホンは単価、高いデスしね」 「そうなのだよ。同棲始めたからって、入籍してはい終わり! じゃ、味気ないしね?」  せっかくホテル勤務なのだから、それくらいは憧れている部分もある。裕司とはまだ詳しいことを話し合ってはいないが……二年近く前に、両家の挨拶は済ませたし、問題ないわけではないが。  やはり……金額が上から三桁以上の価格には、お互いの貯金を併せてもギリギリだ。無闇に今の生活をカツカツにしたくはない。 「…………見たいデス。マトーさんのドレス姿」 「ん?」 「きっと、綺麗デス」 「……ありがと」  大学時代からの友人である皐月(さつき)とは違い、同じ職場で年の差はあれど友人でいてくれる苺鈴は嬉しい存在だ。  グラスを作業台に置いてから、髪型が崩れないように頭を撫でてやると、ふにゃんとした笑顔になった。  それからは、作業に集中して次の宴会に取り組み……一日の仕事を終えるのだった。 「……俺らの結婚ねぇ?」  一日も終わり、裕司の待ってる家に帰ってから伝えると……裕司はとっておきのフルーツワインのボトルを出してくれたので、仕事終わりの軽い晩酌をすることになった。 「……まあ、(ワン)ちゃんは私のドレス姿見たいって言ってくれたけど」
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加