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第2話 お互いに
結婚はまだ早い。
プロポーズに近い言葉は、怜は裕司から貰いはしたが……まだお互い二十代前半だ。
学生婚がないわけではないが……同棲を始められただけでも十分幸せ。怜はそう思っている。
聞いてはいないが……裕司は違うのだろうか。
苺鈴とのやり取りを聞いてもらった後は、怜のドレス姿は綺麗だと言ってはくれたから。
(…………けど、本当に貯金崩したら……結婚式と披露宴だけでお互いの口座すっからかんだろうし)
何より、怜もだが裕司もそれぞれの大学や専門学校の学費のために……普通とは違う高時給のバイトに通っていた。
今はお互いに、そのホテルの正社員であれ……まだまだ貯金は今住んでいる部屋の家賃や光熱費優先になってしまう。
披露宴などで使う金額は、微々たるものでしかまかなえない。それではいけないと、本職となった宴会サービススタッフの怜は思うのだ。
「……そうね。簡単には結婚って言葉は使えないわ」
とある休みの日。
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